見つかりたてホヤホヤの新種エイ「物の怪尖り坂田鮫」を食べてみた

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常に新しい食材、食べたことのないものを食べてみたいと思っている茸本にとって、冬はその出会いの確率がドカンと上がる季節。なぜなら人類の最後のフロンティア「深海釣り」のシーズンだからです。

しかし今年は新型コロコロウンコウイルスのせいで船に乗れないため、非常に辛い冬が訪れることが確定しており精神的にとてもダウナーです。野食の神よ我を見捨てたもうたか……

などと嘆き暮らしていたある日、ぼくの前にまた別の神様が現れました。

饗場空璃(@Sorari)さん「すっごい新種の魚を入手したんですけど、食べませんか?」

食べりゅぅぅぅうぅううぅ!!

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モノノケトンガリサカタザメ

そして明くる日我が家に届いたものが

こちら。
なんの変哲もない魚の切り身に見えるかもしれませんが、実はこれは非常にヘンテコな、そして貴重な新種の珍種な魚なのです。
生体写真はこちら



この魚の名は「モノノケトンガリサカタザメ」。2020年9月に新種登録されたばかりなのですが、その経緯も「水族館にいた魚をよく調べたら新種だったわテヘペロ」という何ともファニーなもの。

過去に数例しか水揚げの記録がなく、食用にした記録はおろか、標本すら殆どないという大変貴重な魚。
饗場さんはどうやってこいつを手に入れたのか……ものすごい裏ルートでも持っているのか……いずれにしても羨ましい限りです。


さて、モノノケトンガリサカタザメは「モノノケ」「トンガリ」「サカタザメ」という3つの要素から成り立つ和名です。
まず、サカタザメという魚が各地に存在しておりまして、それは以前にも食べたことがあります。

サカタザメは結局サメ?エイ?食べながら考えよう
先日、岡山・豊栄水産から届いたサカタザメ。 刺身で食べたときの評価は前回の記事の通りなのだが、やはり加熱して食べたときの評価も気になる。 ということでいろいろやってみた。 1.ムニエル・ポワレ 頭部のエイ的パーツ部はどう...

サメとつきますが、エラ孔が下向きについているため厳密にはエイの仲間という不思議な存在です。なんでこんなサメとエイのキメラみたいな形に進化したんでしょうね。


トンガリとは、この魚の先端部分(吻)がご覧の通り、通常のサカタザメより尖っていることから。
ではモノノケは何かというと、この顔が

三角巾を被って恨めしやーと出てくるお化けに似ているところからの命名だそうです。

ものの和名には表象的な特徴から名づけられたものと人文学的なワードが取り入れられたものがありますが、モノノケトンガリサカタザメは両方の特徴がありますね。高度に洒落の分かるヒトが命名するとこういう現象が起こります。

モノノケトンガリサカタザメを食べてみた

というわけでさっそくモノノケトンガリサカタザメを試食してみたいと思います。
当種はおろかトンガリサカタザメ類も食したことがないので不明点だらけですが、とりあえずサカタザメから味を推測するに「軟骨魚類だがアンモニア臭はなく、さっぱりとして食べやすい」のではないかと思います。したがって調理はシンプルに行くのが良いでしょう。

取り急ぎサクに切り出して皮を引き、生で少量行ってみることに。

いただきまーす

……ほうほう(`・〰・´)
一度冷凍されたものなので切ると水が出てきてしまうのですが、それでも歯ごたえのよさは健在。予想通り厄介な匂いもありません。
くねらせて泳ぐ胴の部分なので筋肉が締まり、ゼラチン質の豊富さを感じます。血合い的な部分にゼラチンの層が入っており、ここが食感にアクセントを与えています。悪くない!

とはいえこれも軟骨魚の宿命なのですが、旨味はあんまりなく、脂も感じません。旨味と油を補ってあげるのが調理の際には必要になるでしょう。
もっと新鮮ならカルパッチョとか美味しかろうね。ごま油と塩みたいなのもよさそう。


今回は湯引きしてレアに仕上げたものを

酢味噌でいただきました。

……(≧〰≦)これこれ
サメの湯引き(エイだけど)に酢味噌つけたのってなんでこんなに美味しいんでしょう。歯ごたえのよさ、加熱でふわっとほぐれる身質、酢味噌との相性は抜群。
加熱でわずかに出てくるアンモニア感も酢の風味がバシッと抑え込んでくれますね。軟骨魚は酢を使った料理をすると美味しくなりやすい(酢豚とか)ので知っていると便利です。
一緒に湯引きした肝も見た目と違いクセが皆無。例によって脂の質は肝油系(青魚のようなコクのある脂ではなく、サラダ油のようなさらっとしたやつ)なので、肝だけを食べ続けたら胸焼けしそうですが、少量を身の湯引きと合わせると最高です。


もうひとつはこれもオーソドックスな

ムニエルに。


通常のエイと異なり裏面(白いほう)にも微小な鱗があり、いわゆる「鮫肌」なので皮ごと調理できない(鱗がジャリジャリして美味しくない)のが残念ですが、やむを得ないので身だけにしてしっかりカリカリに仕上げます。

……(≧〰≦)これも美味しい
エイやサメのムニエルというのは比較的オーソドックスな料理なので食べたことがある人も多いと思いますが。モノノケトンガリサカタザメは普通のエイサメよりも身がしっかりしているのでより美味しさがあります。噛むとふわっとほぐれて、奥からゼラチンたっぷりのコクのあるエキスがぶわっと出てくるので素晴らしいですね。

バターソースをたっぷりかけて食べると最高です。
ただ肝はムニエルにするとちょっと脂っこすぎて食べられなかった(;´Д`)これは湯引きのほうがよさそうです。

味:★★★☆☆
入手のしやすさ:どんなにお金積んだとて買えません


最後に、今回この魚をお裾分けしてくださった饗場さんご自身によるモノノケトンガリサカタザメの解説動画を貼っておきます。みんなチャンネル登録よろしくな!


饗場さんありがとうございました!

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魚介その1(魚系)
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