今回送られてきたニシンは全部で11匹。
内訳はメスが6匹、オスが5匹でした。
つまり5匹分の白子がいま手元にあります。
ニシンの白子といえば……ぶっちゃけていえば「はずれの象徴」。
腹を開けて白子が出てくるとがっかりしてしまうという人は多いでしょうし、ニシンの丸焼きは数の子入りのメスと白子入りのオスでは値段が大きく違います。ただこれはひとえに数の子の価格が高すぎるせいで、白子だって価値のないものじゃないはず。
実際にググってみると、ニシンの白子が美味しいという記事がぽつりぽつりとヒットします。その中には刺身や生に近い食べ方も。
なるほど……期待が高まりますね。
ニシンの白子、かなり美味い部類だった
取り出した白子の、表面の血を塩水で丁寧に洗い流し、端っこを少し切ってそのまま食べてみます。
……!!うまっ! ナニコレ予想以上なんだけど!!
コクがありながらもキレが良く、風味が濃厚なのに舌の上に嫌な後味を残さない。どうしてもとれたてでないために多少生臭さが出てしまってはいますが、魚好きなら気にならないレベル。
形こそサケの白子に似ていますが、あちらが比較的クセのある味わいで料理を選ぶのに対し、こちらはどんな料理でも美味しくなりそう。
ということで、できるだけ生の要素をいかしつつ、ニシンらしさを生かしつつ、食べてみることにしましょう。
調理法のヒントになるのは以前、借金玉さんのお招きで参加させていただいたイベント「肴とうどん」で、ぐっさんこと山口シェフが作ってくださったこちらの料理。
えっと、湯引きボラの白子をなんかとシェリー酒でマリネしたものに生からすみと太白胡麻油と削りからすみをアホみたいにかけたもの
これ以降語彙力が消え失せてあれになった#肴とうどん pic.twitter.com/olFFN8mrfk— 茸本 朗(たけもとあきら) 「野食ハンターの七転八倒日記」好評発売中! (@tetsuto_w) November 30, 2019
ボラもニシン同様に卵巣に圧倒的価値があり、白子は忘れ去られていますが、しかしこのボラの白子は本当に絶品でした。
ニシンの白子と数の子で再現したらどうなるのか、やってみることにしました。
白子は塩をひとつまみいれた湯でさっと湯通しし、一口サイズに切ります。
これをシェリー酒と日本酒でマリネし、おいておきます。青魚であるニシンの白子はどうしても血由来の生臭みが出やすいので、日本酒も併用しました。
しばらくしたら水気を切り、皿に盛り付け、上からごま油と塩をパラパラとふります。
仕上げに、塩締めした生数の子をほぐして乗せれば
完成!
いただきまーす
…(≧~≦)クゥー濃厚!
白子の濃厚さを酒の風味がうまくもり立て、わずかに残った生臭さもマスキングしてくれます。トロッとした白子の質感に、生数の子の強烈な歯応えが乗っかると口のなかがオーケストラ状態に。
味:★★★★☆
価格:★★★☆☆
うーん、ニシンの白子、フグほどとは言わないけど、タラに匹敵するくらいうまいのではないかと思います。サケやブリ、タイよりも上かな。
今後はハズレだなんて言わないようにします、ごめんなさい。
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