世界で最も有名なワイン産地であるフランスのボルドーは美食の街でもあり、さまざまな素材をワインで煮込んだ料理が名物となっています。
特に知られているのが、ウナギの赤ワイン煮ボルドー風こと「ランプロワ・ア・ラ・ボルドレーズ」。ボルドーを貫流する大河・ガロンヌ川で採れるウナギを、銘産地サンテミリオンの赤ワインで煮るというものです。日本でもいくつかの有名なレストランでスペシャリテとなっています。
しかし実は「ランプロワ」はウナギではなくヤツメウナギを指し、この料理もヤツメウナギを使って作るのが普通。
硬骨魚類であるウナギと、円口類で魚類と呼べるかも定かでないヤツメウナギは見た目も味も全く異なる動物で、ウナギで作ったものは全く別の料理だと考えるべきかもしれません。
(ちなみに「ウナギのマトロート」はロワール地方の名物で全く別の料理です)
というわけで日本で「ウナギの赤ワイン煮ボルドー風」を作るのはけっこう難しいのですが、ヤツメウナギとよく似たアイツを使えば近いものができるのではないかと考えられます。
それがこの
ヌタウナギ。
ヌタウナギ類はヤツメウナギ類と同じく、円口類に属する唯一の現生生物。海底に棲み、小動物や死んだ魚などを食べて暮らしています。
危険を察知するとヌタの素を放出し、周囲の水をゲル状にしてしまうことで知られていますね。
ヌタウナギとヤツメウナギは、ときに「モツみたい」と表現される肉質もよく似ており、代用することが可能と思われます。
棲息域が限られ採取の難しいヤツメウナギと違い、ヌタウナギは比較的色々なところに棲息しており、狙って釣ることもできます。
韓国への輸出用に漁獲している漁師さんもいて、通販で購入することも可能です。
というわけで入手は比較的容易。あとは味も似ていれば全く言うことなしなのですが、どう出るかな?
やってみました。
ヌタウナギの赤ワイン煮ボルドー風
さて、作る前にやらねばならないことがひとつ。
ボルドーのワイン煮はほとんどの場合「赤ワインに素材とハーブ、香味野菜を漬け込み(マリネ)、その液ごと煮詰めていく」という調理法を用います。
そのため、素材とワインの質だけなんとかすれば、必然的に美味しいものができます。
しかしこの料理における「質のよいワイン」とはすなわちボルドーのワイン。しかもできればサンテミリオンの濃厚な赤がいいとされています。
サンテミリオンといえば世界屈指の高級赤ワイン生産地、そんなワインが偶然台所に転がっている訳はないし、あったとしても料理になんか使えるかバカヤロウ。
というわけで作ります、それっぽいものを。
用意するのは安い赤ワインとコンコードなどワイン用の品種を用いたグレープジュース。
この2つをベースに
以前にゃごにゃさんにいただいた野草酒を適宜ブレンドして風味を整えていきます。
サンテミリオンの銘醸赤ワインはメルロー主体でアルコール度数が高く、果実味がしっかりしていてラズベリーやブラックチェリー、チョコのような濃厚な香りがあるのが特徴。今回はスイカズラ酒とナワシロイチゴ酒で構成しました。
うむ、だいたいOK。
ここにニンニク、ネギ、タマネギ、ハーブソルトを入れ、
皮を剥いてぶつ切りにしたヌタウナギを入れます。
冷蔵庫で一晩漬け込み、
少し多目のバターを引いたフライパンで焦げ付かないようじっくりと煮ていきます。
……なんかホントにモツ煮みたいな見た目になっちゃった(´・ω・`)
まあいいや、いただきまーす
……(≧~≦)Yatta! うまくいきました!
ヌタウナギの食感はまさにモツのようで、魚臭さも薄いので赤ワインがとてもよく合います。ヤツメウナギと違って脂に欠けるので少し心配でしたが、バターがよい仕事してくれました。
マリネ液とタマネギの糖分がメイラード反応を起こしてなんとなく蒲焼き感があり、それもまたハマっています。
旨し!
味:★★★★☆
価格:★★★☆☆
コツとしては、ヌタウナギは普通に調理しても少し塩味があるので、あまり塩は入れすぎないほうがいいですね。
簡単でとても美味しくできるので、濃いめの赤ワインを余らせていてかつヌタウナギが冷蔵庫にのたうっているようなときはぜひやってみてください。サンテミリオンのじゃなくてもチリやアルゼンチンの赤ワインがあれば美味しくできます。
コメント
うーーーん、
ヌタウナギが、ブログやYouTubeに出ることは未だかつてないですね!20年位前に、駿河湾で捕って韓国に輸出するというのを見ただけです。