※第7回の記事が公開されました!↓↓(2016.12.1)
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星海社Webサイト「ジセダイ」で
「野食のススメ 東京自給自足生活」
を連載しています!!
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液窒調理とか真空調理みたいなヌーヴェルキュイジーヌの系列に「消化酵素調理」って入ってこないかな~
……来ないよな~……
というわけでドングリ、ゴンズイに続いて今回体外消化されてしまうのは
先日刺身でも大活躍をしたオアカムロくん(静岡県出身)だ。
彼を例によって「消化酵素入り食塩水」で立て塩しつつ身のタンパク質を分解し、アミノ酸に富んだ美味しい干物を作りたいと思う。
前回の記事を読まれた方には繰り返しになってしまうが、匂いの強さと美味で知られる干物「くさや」は、作成工程でくさや液に含まれるタンパク質分解酵素の力によりあのような風味と味がもたらされる。
そのため、自宅で干物を作る際に、化学的に分離されたタンパク質分解酵素を含む消化促進剤を用いることであの旨味を再現できるのではないか、と考えたのだ。
前回ゴンズイで試した際はしかし、筋肉や表皮が分解されて水分が抜けた様子は確認できたが、肝心の味の違いまでは分からなかった。
さらに、これは当然ともいえるのだが、くさやのあのキツくも特徴的な香りは全く現れず、ちょっと物足りない結果となってしまった。
そこで今回は、とあるアイテムを使用し、よりくさやらしく美味しい干物を作れないか試してみることにした。
作りかけのアレと消化剤でオアカムロのくさやもどきを作ろう
先日のウツボ釣りの際に釣れた
3匹のウツボ。
これらのアラと内臓をたっぷりの食塩で漬けこみ、常温で放置しておいた。
1週間ほどでアラ・内臓から出た液が容器全体に満ち、発酵が進み始めた。
そういうわけでこれをあと数カ月もほおっておけば、めでたく「ウツボ魚醤」となるわけだが、今回はこの液をちょっとだけ頂いて漬け液の素にしてみた。
この液をちょっと味見してみると……
塩漬けにしてからひと月も経っていないので味に棘があり、また発酵臭も僅かで残念ながら魚醤としては全くまだまだだ。
しかしそれでも適度な魚臭さと塩漬けの風味を漂わせている。
なかなかいい仕事をしてくれるかもしれない。
これを真水で薄めて海水と同程度のしょっぱさに整え、
タカヂア錠をどさっと投入。
そこにオアカムロの切り身を入れ、一晩台所で放置。
さらに一晩干しあげて
オアカムロの「くさや風」干物、完成!!
普通の食塩水で立て塩しただけの前半身と比べると、色が全然違う。
匂いは……わずかに魚醤のような発酵した魚の匂いがあるが、焼くのを躊躇するような強烈さはない。
グリルでじっくりと焼き……
……焼きすぎたorz
まあいいや、これで完成。
普通の塩干しの方から食べてみよう。
……(・~・)
うん、悪くない。
けど、焼くことで皮下脂肪が落ちてしまい(焼きすぎたのが悪いんだけど)、ちょっとパサつきが気になってしまう。
マアジと異なり、オアカムロは脂と筋肉が綺麗に分かれているため、ジューシー感を欠くように感じてしまう。
そして、ぼうずコンニャクさんも言っているが、マアジと比べると味に深みが足りず、時期を外したゴマサバの塩焼きと同じ残念さがある。
ちょっと干し過ぎたのかしら……
「くさや風」の方はどうか。
……(`・~・´)
うん、これは良い!
あからさまに旨味が強く感じられるのはタンパク質が分解されたおかげだろうか、それとも魚醤もどきに由来するものだろうか。
一見すると良く干されているようで、内部にはジューシーさがしっかり残っている。
上記の短所をほとんどカバーできているのが嬉しい。
ただ残念なのは、やっぱりくさやの風味がほとんどしなかったこと。
魚醤が未熟過ぎたんでしょうなぁ……
味:★★★☆☆
価格:★★★☆☆
オアカムロの消化酵素干しは、ゴンズイと比べるとよりドラスティックな変化を感じることができたが、それでもまだ手間の割には物足りなさが残る。
消化酵素による分解の度合いが足りないのかもしれない。
分解温度や時間のパターンを変えて、いろいろ試してみる必要がありそうだ。
コメント
ヌーヴェルキュイジーヌ × 消化酵素調理..良いと思います♪
旨味を[足す]ので無く食材そのものから生成するという方法は、
最近 UMAMI に熱狂気味な海外の料理人さん達に新たな方向を示してあげられるのでは無いでしょうか?
自分でも色々やってみたくなりました♪
ヨーロッパでも、リネンス菌や各種のカビ、ダニでタンパク質から旨味を取りだすメソッドはあるんですけど、チーズに限られちゃってますよねぇ……
肉とか、魚とかでもトライしてみてほしいなと思ってます(`・ω・´)
パンクレアチンの輸入サプリなんかいいかもですね。
和製だと犬猫用消化剤がAmazonにあります。
温度によってはせっかくの魚がペプトンになるかもですが。