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深海タラばかり食べている日々だが、飽きない。
見た目も体のつくりも味も、それぞれが個性的で面白いのだ。
ソコダラ科とチゴダラ科では全く別の魚で、それぞれの比較も楽しい。
なにより、市場で手に入らないというのが最高だ。
どれも味がずば抜けて良いというわけではないのが残念だが、的確な調理法をすれば十分に楽しむことができる。
…と思っていたのだが、今回そのイメージを覆してくれる魚に出会った。
オニヒゲを食べてみた
うみMEMOのMakimary船長は、超深海出船時に釣れた魚の速報を入れてくれるのでワクワクしながら待っているのだが、先日の出船時に「トウジン?の小型一匹」という速報が入った時は一瞬? となった。
トウジンはどちらかというと500mダチ位で釣れてくるイメージで、超深海釣りで登場するのは意外だなと思ったのだ。
いただいたものを見るも、唐人のように長く伸びた鼻(吻)は確かにトウジンそのもの。
しかし、帰ってからよく観察してみると、吻の下面に鱗が無くぬるっとしている。
この特徴が当てはまるのはオニヒゲと、ネズミヒゲ、テングヒゲだ。
これら3種は腹部の発光器の大きさ・位置で比べられるとのことだが…
…いまいちわからん。
まあ、腹鰭のところに目立つものが無いので、これはオニヒゲということでよろしいんではないだろうか。
オニヒゲについて、ぼうずコンニャクさんのところで調べてみると、「味は良く、とくに肝は魚類中最高の味」と書いてある。
これは期待が膨らむ。
さっそく捌いていく。
この魚、これまで捌いてきたソコダラ系の魚(イバラヒゲやムネダラ)と違って、しっかりと死後硬直している。
鱗や形状は完全にソコダラ系だが、身質はチゴダラに近いのだろうが。
硬い鱗に苦戦しつつ3枚に下ろす。
肝臓は予想よりも小さいが色味がよく、寄生虫も目視では確認されなかった。
例によって、皮は鱗ごと手で簡単に引ける。
刺身にして、肝を中心に盛り合わせてみた。
まずは身だけ、いただきマース
…(○~○*)!
おお、これは美味い!
予想よりも身が締まっていて、ゼラチン質が多く感じられる。
ヒゲダラ(ヨロイイタチウオ)に近いかな。
水っぽさは皆無ではないけどあまり気にならず、また身の中に脂もわずかだが感じられる。
肝は…
コクがあり、意外に歯ごたえもあって美味しい。
旬のカワハギにはかなわないと思うけど、ヒラメとかカサゴ目の魚と似ていてかなりレベルは高い。
軽く蒸したりして火を通したほうが良さそう。
当然、身と一緒に食べると抜群にうまい。
味:★★★★☆
価格:★★★☆☆
真空パックにして一晩寝かせてから、もう一度食べてみた。
…(`・~・´)
これも美味しい。
でも身の締まりは無くなっちゃったな。
そこまで味が向上するわけではないので、オニヒゲの刺身は釣り上げてから1~2日が限界かもね。
頭はムネダラと一緒に粕汁に。
吻の下の肉が美味しいけど、鱗が取りづらくてちょっと面倒だ。
でもほろりとして味はいい。
ドンコ(エゾイソアイナメ)に近いかも。
まああれもタラ目だもんね。
刺身でこれだけ美味しいというのは完全に予想外だった。
トウジンよりもこちらの方が上に思えたが、お店で食べるのと自分で捌くのでは、鮮度の差もあるので一概には比べられない。
どちらも歩留まりはかなり悪いが、各地で市場に出回る理由はよく分かる。
チゴダラ科とトウジン属は、どちらも深海釣りの本命たりうる魚だと思う。
釣り人しか味わえない味覚だしね。
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