先日、ゆぞくさんに案内いただいて、某有名ティラピアポイントに釣りに行ってきました。
本来熱帯の魚であるティラピアですが、本土各地に生息・繁殖スポットがあることが知られています。温泉施設や発電所の排水路なんかが有名ですが、ぶっちゃけただの家庭排水でも彼らが暮らす環境としては申し分ないようです。下水処理水って年間を通して30℃くらいあるらしいからね。利根川にそそぐ下水処理水排水溝でグッピーを捕まえたのが思い出されます。
グッピーと違うのは、このティラピアがとても美味しいという点です。
日本に入ってきたのはどちらかというと鑑賞目的のようですが、世界的には食料目的で移入されることが多いティラピア。上皇さまが皇太子だったころ、陛下のアドバイスによりこのティラピアが「食糧危機を救う魚」としてタイに移入され、今でも重要な食用魚とされているという話もあります。
とはいえ、同様の経緯で日本に入ってきたブルーギル同様、繁殖力の高さや広く貪欲な食性のため世界各地で「侵略的外来魚」としておそれられる存在でもあります。上皇さまはもちろん、当時の生物学者のほとんどが「外来種移入の悪影響」を予見できなかったという点がこの問題の難しさを表しているよね。それでもひたすらに外来種の移入・放流を続ける現代日本人はどうかしていらっしゃるわけでございますけれども。
うちらにできるのはひたすらに釣って食う、これだけよ。やっていきましょう。
ティラピア釣りの敵はカメ
日本で最も簡単にティラピアが釣れるのは沖縄ですが、現状そう簡単に沖縄に行くわけにもいかないので、いま釣るとなればどこか本土のポイントということになります。
前記の通り本土各地にティラピアの棲息スポットがあり、ググるとたくさん出てくるのでポイント探しには苦労しないと思います。ポイントは「温排水」ですね。
釣り方を調べるとルアーマン各位がいろいろされているページや動画がヒットしますが、あの人たちは苦行を楽しむのが好きなのであんまり参考になりません。やっぱりエサ釣りが楽ちんですね。そのエサも、基本的にはパンでいいです。仕掛けはシンプルな直結、針はヘラスレの6号とか。
詳しい釣り方はゆぞくさんに教わったものなのでネットで公開はしませんが、現地入りしてティラピアの動きをよーく観察すれば釣り方が見えてくると思います。釣りの腕よりも理科の観察の経験が問われる感じ。
ティラピア釣りの外道ですが、ともかくカメが厄介です。ティラピアが多いところなら大体ミドリガメもいっぱいいて、奴ら警戒心というものを全く持たずに釣り針に食いついてくるので非常に苦労させられます。
もう少し後の時期なら卵を持っているので解体して食べてもよいのですが、今はまだね……
ティラピアを捌くにはコツがいる
釣れたティラピア。
ナイルティラピアはシクリッドの仲間の中ではじみーな部類だと思いますが、よく見るとなにげにヒスイ色の胸びれ、炎のように赤い尾びれがとてもきれいです。
この色味は釣りたてのものだけで、死ぬとすぐに黒くなってしまいます。
血抜きして持ち帰ってきました。
台所にあるとなんだかメジナやクロダイみたいです。日本の淡水に多いコイ目ではなく、海産魚の代表であるスズキ目に属しているので当たり前といえば当たり前ですね。
解体しようと思い、袈裟切りに出刃を入れたのですが……
くっさ!!! 内臓の汁、めちゃくちゃくせぇ!!!!! 下水処理場に魚の腐敗臭が混ざった感じです。
これはやばひ、鼻が曲がりそうだ……そういえば聞いたことあります、ティラピアは内臓が死ぬほど臭いから、絶対に傷つけてはいけないと。植物食に近い雑食性で、腐敗した死体なんかも食べているんでしょうね。
調べると「フナの解剖のように、内臓を迂回して包丁を入れろ」なんて書いてありましたが、肋骨の位置もよくわからんのにいきなりそんなキレイに切ることはできません。
いろいろ考えたのですが「内臓を傷つけないってことは、要はアイゴと一緒じゃんね」と思いつきまして、その捌き方を踏襲することにしました。
頭の後ろに包丁を入れ
ちぎるように背骨を折り、内臓ごとずるりと引き抜きます。
とれました。
腹腔は二層構造になっていて、下半分が消化管、上半分に鰾や腎臓などが収められているようです。消化管が入っていた部分はくっさいですが、上側はそんなことはなさそう。
上側の天井部分をキッチンバサミで切り出せば
無事、解体完了!
全体を今一度流水でよーく洗います。においをかいでみると
……(`・∞・´)うん、問題なし!
早速調理していきますが、長くなっちゃったので続きは次回。
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