「野食のススメ」第10回の記事が公開されました!(2017.4.1)
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星海社Webサイト「ジセダイ」で
「野食のススメ 東京自給自足生活」
を連載しています!!
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先日「深海ダラをルーテフィスクにしちゃうぞ!」といった記事を公開し、北欧の素敵な食文化について紹介することに成功した(と自負している)。
ただその際に「水酸化ナトリウム水溶液の濃度が濃すぎる」「漬ける時間も長すぎるんじゃね?」「てかそれもう溶けちゃってんじゃん」といったクレームを頂戴し、下調べの不足を痛感。
(´・ω・`)となっていたところに、親切なえむっちさんが「スウェーデンバージョンのレシピ」を見つけてきてくれたので、それに基づいて再トライしてみることにした。
面白そうではありますが、完全に溶けてますねw
裏の家業の方が遺体処理に使うともいわれる薬品ですし、さもありなんです。
リトライしてみらいですね、こちら様のレシピなど参考になるでしょうか。https://t.co/oWZU0BtHI9— えむっち (@mm_mmr) April 4, 2017
ただ、うちにはもう深海ダラの干物がない。
普通の干しダラを購入してきてやろうかなと考えたけど、買うとそこそこするんだよね。
なんか代わりになりそうなものないかなぁ……
……オッ
ウツボでルーテフィスクを作ってみる
ということで、キッチンの片隅に転がっていたウツボの干物を用いて、ルーティスクを作ってみることにした。
ルーテフィスクとは「灰魚」という意味なので別にタラでなくてもよかろうという考え方もある。
それに、魚のタンパク質をアルカリによって変質・分解してゼラチン質を残すのが目的だと考えれば、身質のきれいな白身魚であればなんだってできるのではないだろうか。
ウツボは身も厚いし、こないだみたいに焼いたら無くなってしまうということもなかろう……(フラグ)
教えていただいたレシピに基づき作っていくのだが、
このレシピの投稿者自身が「このレシピは真正なもので、ジョークで言ってるわけじゃないんだぞ」と言ってるのが笑える。
そうだよな、ノルウェー人ならともかく、スウェーデン人にとってはこれはギャグとしか思えないんじゃないかなぁ……
まず干物であるが、あらかじめ水につけてもどしておくそうだ。
乾燥状態を直接水酸化ナトリウム水溶液にぶち込むのと、結果にどんな差があるのかは不明だが、確かにあらかじめ身に水分を含ませておくことで、内部に必要以上に水酸化ナトリウムが浸透するのを防ぐことができるかもしれない。
とりあえずまる2晩漬けておいた。
次に、水酸化ナトリウム水溶液を作る。
レシピによると1ガロン(約3.8ℓ)の水にテーブルスプーン(大さじ)2杯の水酸化ナトリウムを入れるという。
だいたい0.8%か、確かに前回(10%)はあまりにも濃すぎたな……
ここに戻した干物(ウツボ)を入れて丸3日漬け込み、取り出してまた丸3日水にさらす。
前回みたいに色が抜けていく感じはそれほどないが、肉が透けて皮下埋没骨がばっちり見えてるぜ……!
そうか、こうすればもう骨に悩まないですむな!
ウツボの骨抜きなんていらんかったんや!(錯乱)
アルカリ抜きが完了した(と思われる)ウツボ。
筋肉はプルプルとしたゼリー状になり、前回の深海ダラと比べると多少は強靭そうではあるものの、ほとんど同じものができあがったと言っていいだろう。
皮はあんまり変化を感じないがはたして……?
これを前回同様、フライパンで蒸し焼きにしていくのだが……
やっぱり溶けたwwwww
深海ダラと比べてウツボは身が厚く、より長時間の加熱が必要になるのだが、その前に溶けてなくなってしまいそうだ……
温度計を駆使しつつ、火が通るぎりぎりのタイミングを見極めて取りだし、
皿に盛り付けて溶かしバターをふりかけ、ディルを散らしたら
ウツボのルーテフィスク、完成……
……なんかおぞましス。
見た目には変化のなかった皮だが、やはり水酸化ナトリウムに犯されていたようで、加熱するとあっという間に溶け出してしまった。
鰭基部の骨があらわになり、うにょうにょと縮れて見た目に麗しくない。
全体の大きさも数分の1に縮んでしまっているし……
ルーテフィスク、歩留まり悪い料理だな……?
まあいいや、大事なのは味。
いただきマース
……(・〰・)
うーん、何とも評価が難しい。
まずポジティブなところをいうと、筋肉部分はなかなか美味しいですね。
深海ダラと比べると繊維感がなくて、トロトロに煮込まれた牛のアキレス腱そっくりの食感なんだけど、これがバターと絡むとなかなかいいです。
あと、前回と比べてコンニャクっぽい生臭みが少ない。
これは水酸化ナトリウムの濃度を下げたおかげかしらね。
一方でネガティブなのは、皮が臭い!!
なんだかトラウツボ系のケミカル臭が感じられて、そこにコンニャク臭が絡むもんだから飲み込むのがしんどい。
更に謎の口どけというか、シャンプーが口に入ってしまった時のようなもわっとした苦みが……
もしかして皮下脂肪が水酸化ナトリウムで鹸化してしまってるのか?
それから小骨だが、もともとウツボの骨はそこまで身離れが悪いとは思わないんだけど、ルーテフィスクになるとクッソ悪くなる。
骨ごと口に含んで、一つ一つ取り出していくしかなくなるので、食べるのがちとしんどいです。
つまり、ルーテフィスクに使用してはいけない魚は
・皮が厚いもの
・皮下脂肪が多いもの
・小骨が多いもの
・身が繊維質でないもの
ということになりそうだ。
味:★★☆☆☆
価格:★★☆☆☆
上記のネガティブ要素については、言うまでもなくタラを使うことで全部解決することができます。
もしタラがなくても、身がキシっと繊維質で、脂がのっていないものを使えば割とうまくいくんじゃないだろうか。
個人的にはタラの「繊維質でありながらゼリー感もある」という食感がなかなか見事だと思ったので、今回のウツボがただの牛アキレスになってしまったのはちょっと残念だった。
味は悪くないんだけれども。
ムネダラとか、ソコクロダラとか、デカいのが手に入ったらまた作ってみようかな!
コメント
ブログに初登場、光栄です。しかし流れ的に責任を感じる撃沈ぶりですね・・・
個人的には非常に面白いナイストライでございました。
骨が柔らかくならないのは残念ですが。
臭さはどうなんでしょうね、仰るような相性問題なのか、
薬品抜きの工程で毎日水替えともありますし、
タラでさえ臭くなりやすいのかもですね。
いや、おとなしくタラでやったらこんな苦労はしないですんだと思います、たぶんw
臭さはですねぇ、これは多分ウツボの皮が悪かったんだと思います。タラだと気にならなかったですし、コンニャク臭はむしろ個性的でいいなあと思ったくらいで。。
見た目は美味しそう(^-^)