ゆぞくさんは大変ファンキーな人ですが、その知り合いの方にも結構ファンキーな方々がいて、話を聞いているととても面白いです。(のべ竿でキングサーモンを釣る人とか、朝4時に起きてタルタルソースを仕込む人とか)
先日もスッポン釣りをしながらそういう人たちの話をしていると、ふと「そういやこの辺に住んどるもんで、めちゃめちゃ旨いオオスズメバチ酒を漬けるやつがおるで」という発言が。
スズメバチ酒……生きてるうちに焼酎に漬け込んで、放出させた毒の染み込んだお酒を飲むやつですね。
スズメバチを生きたまま捕獲しないといけないので、当然ながら薬剤や燻煙材を使用することができず、作るのは非常に危険を伴うといいます。すごいな、いったいどんな人が作ってるんでしょうか。
「とんでもない男でな、こないだマムシに咬まれてんねんけど、それが人生でもう4度目や。病院も行けやん。」
……ちょっと想定外のとんでもなさですね。
オオスズメバチ酒を飲んでみた
その後、我々の釣り場までわざわざ来てくださったその方(ロン毛、ヒゲでムッキムキのハルクホーガンみたいなダンディ)から貰ったスズメバチ酒がこちら。
オゥ……オオスズメバチが、飽和している……
瓶の上までみっちりとこれでもかと詰め込まれたオオスズメバチ。漬かっている液体はもとは無色透明だったはずなのですが、まるで樽熟成を施したウイスキーのような濃厚なべっ甲色に。
しみ込んでいるのはもちろん、オオスズメバチの毒です。
スズメバチの毒は多種多様のタンパク毒を混ぜ合わせたもので「毒のカクテル」と呼ばれています。
これを血液中に入れられるとあの恐ろしい痛みに襲われるのですが、経口摂取であれば問題なく、むしろ薬効が期待できるといいます。
とはいえぼくはアレルギー体質、しかもかつてスズメバチに刺されたことがあり、経口摂取とはいえアナフィラキシーショックが起きないかという不安があります。
というかもし口内炎とかあったらそこが死ぬほど痛むんじゃないの……何なら激痛で死ぬるんじゃないの……
不安ばかりが膨らみますが、怖がっててもしょうがない。
とりあえず、ほんの少量試してみることに。
いただきまーす……
味は、確かに悪くないというか、美味しさがあります。
カラメルのような香ばしさ、ときに鰹節のような旨味、コクがあり予想していたより美味しいです。
ネットで見ると、スズメバチ酒はおおむね「まずい」という感想で一致しているような感じだったので、この飲みやすさは予想外でした……
……!? なんだこれ、とつぜん口の中がめっちゃピリピリしてきた……!
まるで山椒の粒をそのまま齧ったような刺激が口の中に広がります。
そしてその刺激のあったポイントがブワっと熱くなり、その熱がのどを通って胃袋まで伝わっていくのがわかります。これが多分、毒……!
とはいえどこかが腫れるとか、呼吸困難が起こるとかそういうようすは皆無です。単純に、体がめちゃくちゃ暖まる。
たぶん血行も相当よくなってるはずです。刺激に慣れるとクセになりそう。
毒カクテルのカクテルを作ってみた
さて、ただ飲むだけじゃ芸がないので、ちょっとした加工もしてみることにしました。
オオスズメバチ酒、全体としてはカルヴァドスとかマールのような果実の樽熟成蒸留酒ににた風味を感じます。
そこで、カルヴァドスやブランデーを用いたカクテルを調べてみると、オレンジジュースやオレンジリキュールと合わせて飲まれることが多いようです。
やってみます。
オレンジジュースとオオスズメバチ酒を良く冷やし、3:1で混ぜてステアします。
グラスに注ぎ、オオスズメバチを1匹、グラスのふちに飾ります。
できた!
名づけて「キャンプ場で誰かが残したオレンジジュースにスズメバチが飛んできてパニックになるやつ」です。
いただきまーす
……(≧ω≦)うん、合ってるんじゃないですかね。カクテルはよくわかんないけど、風味の方向が一致してるような気がする。
オレンジリキュールが入るともっと飲みやすくなるのかな。
味:★★★☆☆
価格:★★★★☆
ちなみにスズメバチそのものは出汁ガラで、カシュカシュして美味しいもんじゃないです。なんかいい利用法ないかなぁ……
コメント
「オレンジジュースにスズメバチが飛んできてパニックになるやつ」笑いましたw
出汁ガラはイナゴの佃煮みたいにするか、乾かして揚げですかね・・・
佃煮はコクが足りないでしょうから胡麻とかで補うとか。
粘膜がエラい事になりそう………
胃潰瘍なんかがあったらもっと危険そうですね。
試す勇気が凄いです。
飲み続けたら毒への耐性出来ないかな…無いか…
スズメバチ酒の効能や如何に。