あちーしだりーし野食ネタもないもんで、ここのところ夜中に行動することが多くなっています。
先日は夜の林に出撃して
男の子たちのヒーロー・クワガタを見に行ってきました。
みんな大好きノコギリクワガタです。
隙あらば自分語りで恐縮なのですが、ぼくは小学生のころ、保谷(現西東京市)というところに住んでいました。
隣は東京23区、池袋まで急行で25分という手頃なベッドタウンであるのですが、それでもその頃はあちらこちらに武蔵野の雑木林が残っていたものです。ぼくの通っていた学校も、すぐ裏に「栄森」と呼ばれる雑木林があって、夏休みにはクワガタやらカブトムシを捕まえることができました。
コクワガタやヒラタクワガタは当たり前にいたのですが、ノコギリクワガタはちっとも見つからず、憧れの存在でした。奥多摩でキャンプする際に探したりもしたのですが、あの人たち意外と深い山にはいないみたいで、ミヤマクワガタやアカアシクワガタは見かけてもノコギリクワガタと出会えることはありませんでした。
そんな憧れのノコギリクワガタ、しかも大顎が湾曲してカッコいい大歯型を、齢35にして初めて手にすることができました。感無量であります。
お盆で田舎に帰ってる少年たち、みんなも頑張って捕まえるんだ! 自分で捕まえたクワガタは、図鑑で見るよりずっとカッコいいぞー!
ノコギリクワガタ食べてみた
そんな感動のノコギリクワガタなのですが、もちろん食べます。仕方ないんですよそういう人生なんだから。
どこで足を踏み外したらこうなるのか……世の少年たちよ、みんなはこんなおじさんにならないよう、お母さんの言うことはちゃんと聞いて、宿題もちゃんと計画通りやるんだ、いいね?
クワガタのような朽ち木で暮らす虫は、土食(腐葉土食)や腐肉食性昆虫と比べて食べやすく味が良いものが多いです。
なのでまずはシンプルに味を見てみましょう。
塩ゆでにして……
各部の殻を剥いて、筋肉を取り出して食べます。
殻(外骨格)がめっちゃ硬く、手では割れないのでカニ剥き用のハサミを使いました(;´∀`)
……(`・~・´)おっさすが
他の昆虫と同様に、翅や脚が付いている胸部にはしっかりとした筋肉があります。そこに加え、これだけ大きな顎を動かすために頭部の筋肉も発達しており、可食部位として十二分です。これはクワガタの食材としての大きなアドバンテージと言えるでしょう。
ただ、味は……正直、ちょっと薄いです。食感もでんぶみたいで弱弱しく、歯ごたえ、旨味ともにセミには遠く及ばないです。筋肉単体だと調理したてのゲンゴロウのほうが上かも。
ただし! クワガタの魅力はどうやらここではなかったようです。
普通の虫だと微妙に青臭かったり、じゅるっとした食感があったりクセのある腹部。
なのですが、ノコギリクワガタの腹部はうまい! まるでピーナッツバターのような脂っぽさとコクがあり、旨味たっぷりで臭みもなく、大変上等です。カニミソみたいだなぁ。。
殻が硬く、筋肉の味が薄めだけど腹部のミソ(というか内臓)が濃厚で美味しい……甲殻類で言うとヤシガニですね!(←またわからない例え)
姿を生かして食べるならやはり、姿揚げでしょう。でも、殻は食べられるのだろうか……
……うーむ、ちょっと硬い(;´∀`)まあでもザリガニの丸揚げよりはましかな。
ただ、揚げることで殻の香ばしさは加わったものの、腹部のクリーミーな濃厚さは失われてしまいました。ノコギリクワガタに関しては揚げより茹でがいいな。
味:★★★☆☆
価格:★★★★☆
ノコギリクワガタがここまで美味しければ、オオクワガタとかもっと美味いんじゃないかと思うけど、クワガタハンター筋肉さんによると彼らは共食いに近い行為を行うことがあるようで、その意味ではあんまり食味は期待できないかもしれません。
とはいえ根本的に材木で育つクワガタの類は美味しいものが多いと思われます。最近流行ってる海外のデカいクワガタなんかも不味くは無かろうと思うし(変な薬剤とか与えられてなければ)日本の自然環境に放虫するくらいなら飼い主が責任持って食えって思いますよね。あれなんか話ずれてる?
★☆★☆★茸本朗の新刊が発売されました☆★☆★☆
さまざまなヘンテコ・トンデモ・絶品食材を食べていろいろな目に遭った茸本の体験記が、cakesでの連載を経て単行本になりました。
ブログとはまた違った切り口の文章をお楽しみいただけると思います。ぜひお手にとっていただけると嬉しいです!
コメント