先日、とある魚屋で、カイワリを購入しました。
カイワリ、釣り人以外にはあまり知名度のない魚ですが、アジ科の中でもトップクラスの美味を誇るものです。
大きくなっても30cmを超えることはほとんどないのですが、小さくとも高級魚として扱われることが多いです。
なので、8匹で900円などという価格で売られていれば、買わないわけにはいかないでしょう。
持ち帰ってきて「刺身にしようか」「いややっぱり焼き魚が一番」などと嬉しい悩みを抱えながらさばいていたのですが……ちょっと様子がおかしい。
これは……ヤツの気配……!
はい、やっぱりいました、タイノエちゃんです。
漢字で書くと「鯛の餌」となるこの寄生虫、タイだけでなくタイ型の魚にはしばしば寄生しています。
さばいていると口の中から突然コンニチハするので、慣れない人が見るとびっくりしすぎて魚を放り投げてしまうことがあります。
寄生虫とは言いますが甲殻類の一種で、近年その 美味が広く知られるようになった「オオグソクムシ」とかなり近い仲間です。
エラの付け根に寄生しており、大きくなると口からはみ出そうなほどになりますが、寄生されている魚もそこまで大きなダメージを受けてはいないようです。
一方で釣り人にとってはかなり厄介な存在で、せっかく魚が針にかかっても、口の中にいるこのタイノエに釣り針が刺さり、巻き上げる途中でポロリとはずれ、魚に逃げられてしまうということがあります。
しかし、普段は何匹もの魚をさばいていると、1、2匹のタイノエに遭遇するという程度の遭遇率なのですが、今回はカイワリ8匹のうち7匹から出てきました。こんなのは初めて。
地域によっては寄生率が高くなったりなるのでしょうか。気になるところです。
つがいに寄生されている個体もありました。タイノエのメスは、体積比で言うとオスの10倍以上になります。
メスはなんだかマシュマロマンとかベイマックス系統の可愛らしさがあるんですが、
オスにはなんだかこう…… MIBに出てきたアルキリアン星人みたいな「本体」感があります。
そして、つがっていたメスは抱卵しているもの、それから仔虫を抱きかかえているものがいました。
これ結構閲覧注意な感じですね……おれはギリギリ大丈夫だった。銅蟲さんとかはちょっと厳しいかもしれんですね。
タイノエ、いい出汁でるっぽいので炊き込んでみた
以前、このタイノエやオオグソクムシと同じ仲間の寄生虫「ウオノコバン」を食べてみたことがありますが、なかなか美味しかったという記憶があります。
ということでタイノエももちろん食べていくわけですが、さあどうやって調理しよう。
一般的には揚げて食べられるものなんでしょうけど(一般的に食べ物ではないという突込みは不要)揚げて美味しくなるのは分かってるしなー……
あと、これを揚げたら仔虫が大爆発するのは火を見るより明らかです。なんかそれもったいないもんね。
オオグソクムシはものすごく良い出汁が取れた記憶があるので、このタイノエも出汁を生かすような料理にしたらいいかもしれない。
じゃあ……炊き込みましょうか!
味付けは醤油とみりんのみ。
炊けました。
……(≧〰≦)
やっぱり美味しい!
まずね、とても良い香りがします。オオグソクムシと同じシャコやエビ系のものを想像していましたが、これは完全にカニです。
カニ味の出汁が醤油とないまぜになってご飯全体によく回っています。
ご飯の量に対してタイノエの数が少ないかなと思ったんですが、十分ですね。
一方でタイノエはパサパサになってしまい、まさに出汁ガラといった感じ。
卵はカニの外子のようにプチプチしているのを期待しましたが、どちらかと言うとむちっとして魚卵のような風味があります。
味はいいけど、量が少ないね……これいっぱい集まったら醤油漬けにしたりしたら美味しいかもしれませんね。仔虫も。
味:★★★☆☆
価格:★★★☆☆
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コメント
いつも楽しく拝見させていただいています。
質問ですがタイノエは何を食べるのでしょうか?
ご飯の上のタイノエの色味がなんともおどろおどろしくて気になりました。
どうぞ感染症、寄生虫症にお気をつけて野食を世界に広げていってください。
いつもありがとうございます!
タイノエは宿主の体液を吸っているのではないかと思います。餌を横取りするほど機敏ではないですしね。