※捌いている途中のシーンがあり、ショッキングな画像が含まれます。
先週末、またもカメを釣りに行き、ミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)をゲットしてきた。
ホントはスッポンを釣りに行ったんやけどな……
でもいいし!ミドリガメ美味しいし!
というわけで1匹持ち帰ってきて捌いたのだが、3匹目にしてついに所用時間20分を切ることに成功した。(締める時間は含まず)
これだけ速く捌ければ食材としての利用価値も上がりそうなので、スピーディーに捌くための僕なりのコツと注意点を公開したいと思う。
一連のカメ記事で興味を持たれた諸兄はぜひご笑覧下さい。。
ミシシッピアカミミガメを解体する時のコツ
締め
最初のハードル。
僕もはじめはここで時間をかけすぎてしまい、罪悪感と疲れを不必要に増大させてしまった。
しかし、実際は慣れればそうむずかしいことではなかった。
カメを捌くにあたっての改良点メモ①
・締め
プライヤーで下顎をつかんで持ち上げていると、やがて自重に耐えきれず首が伸びてくるので、すかさず地面に置き、甲羅を足で押さえて首を落とす。二人でやるとめっちゃ楽。— 茸本 朗(たけもとあきら) 「野食ハンターの七転八倒日記」好評発売中! (@tetsuto_w) May 29, 2016
よく砥いだナイフや包丁があればすぐだ。
甲羅の切り離し
腹甲と背甲が甲羅長の1/3くらいの長さの接続部(専門用語で腋下甲板・鼠蹊甲板というらしい)でつながっているので、そこをのこぎりでゴリゴリと削っていく。
スッポンのように甲羅が柔らかい種類や、カミツキガメのように腹甲が小さい種類なら苦ではないが、甲羅がしっかりと全身を覆っているカメを捌くときはどうしてもたいへんになる工程だ。
ミドリガメの甲羅はちょっと硬めの木程度の硬さで、100円ショップのノコギリでも容易に切断できるが、背甲の盛り上がっているカメだとぐらぐらと動いて力を入れづらいので、濡らしたタオルなどで土台を作って、その上に逆さにしたカメを乗せると多少はやりやすくなる。
この接続部は 【 のような形をしており、水平に切れ目を入れていくと中央の部分が最初に貫通する。
ここから先はノコギリの刃と甲羅との摩擦係数が大きくなり、またカメの手足がじたばたと動くので(頭を落としても手足はかなりの時間動く)最後まで切断しようとするのはとても難しい。
そこで、貫通した部分にマイナスドライバーを差し込んで
ノミ打ちの要領でカンカンと叩くと
バキッという音とともに切断される。
こうすれば手足や内臓がノコギリで傷つくこともなく、きれいに取り外すことができる。
解体
両側の甲羅の接続部を外したら、頭側と尾側からそれぞれよく研いだ包丁を入れて、腹甲についている皮膚や筋肉を切り外していく。
甲羅についている部分をこそげ落とすイメージだ。
皮膚は強い弾力性があり切りにくく、百円ショップのキッチンバサミでは切れ目を入れることすらできない。
そのため、よく研いだ包丁やナイフの切っ先を使って少しずつそぎ落とすように切り進む。
腹甲を取り外すと、四肢ならびに付け根の筋肉、そしてすべての内臓が露わになる。
解体の順番はどれが正解とは言いづらいが、まず内臓を外してしまうのが個人的には一番やりやすかった。
ひとパーツごとに丁寧に取り外す。
膀胱はだいたい割れて見えなくなってしまっているのであまり気にせず、取りだした内臓は流水でざっくりと洗う。
胃と腸は1つの管になって繋がっており、大体の場合中に未消化物が詰まっているので、これをこぼさないように気を付けて取り出す。
食べる場合はキッチンバサミで切り開いて中を良く洗う。
肝臓は大きく目立つため外しやすいが、裏側についている胆嚢を絶対に破らないようにしたい。
これを破ると苦みが全体に広がってしまう(洗えば結構なんとかなるけど)
続いて筋肉を外す。
包丁の切っ先をうまく使い、背甲に付いている皮膚や筋肉にちょっとずつ切れ目を入れてこそぎ取っていく。
小さくて硬い骨が連続するので、安物でも出刃包丁(小出刃)があると格段にやりやすい。
セラミック包丁では歯が欠けてしまうので使用しないこと。。
綺麗に取ろうとするとまずうまくいかないので「(細かい破片になってもいいから)できるだけ甲羅に身を残さない」ように意識をするとうまくいく。
切り取りにくい骨があれば手で折り取る。
何も考えず作業を進めれば、甲羅を外してから解体終了までに10分と掛からない。
最終的には甲羅含めすべて鍋に入れて無駄なく食べることができるので「きれいに取り外そうと思いつめない」のが上達のためのコツと言えばコツ。
さて、どうやって食べようかしら……
ミシシッピアカミミガメを捌くときの注意
カメはのろまな生き物だ、と思っている方が多いけど、それは甲羅の重さのせいだ。
彼らの甲羅は平均して体重の30%ほどある。
つまり平均的な体重の成人男性が常に20㎏のリュックサックを担いでいるようなもので、それを下ろしたら格段に素早く動けるようになることは容易に想像がつく。
甲羅を裏返したり、締めたりしようとする際は甲羅の重さから解き放たれていたり、また首や手足だけを動かせる状態になっているので、素早い動きで攻撃してくることがある。
また、カメの歯は非常に鋭く硬い。
人間の皮膚などかんたんに切り裂いてしまうし、甲羅長30㎝近いサイズのミドリガメなら肉を削り取るくらいの力を持っている。
スッポンやカミツキガメならその危険性を知る人も多いだろうけど、ミドリガメを捌くときも十分気を付けていただければと思う。
向こうは文字通り命がけで攻撃してくるので、決してナメてかからないようにしてほしい。
コメント
とても解り易かったです。また唐揚げが楽しみですね。
ところで、わたくし熊の胆とかに興味がすごくあるのですが、
亀の胆嚢も干して利用できたりするんですかね。
スッポンの胆嚢は利用されたりもしてるみたいなのですが。
カメに限らず爬虫類の胆嚢は生薬になるほか、健康食品としてそのままごっくんされることもあるようです。
ミドリガメの胆嚢も相当にきれいな場所で獲れたものならいいんじゃないでしょうか。でもなにに効くんだろう?
胆嚢全般、書いてあるのは胃薬としての効果みたいですよね。
でも、個人的にはむかし旅先でマタギから頂いて熊の胆を飲んだ時の
高熱風邪でダウン状態からの仙豆的超回復の記憶があり、それだけじゃ
ないような・・・と夢を持ってるんですw
鏡の破片さんもありがとうございました。
胆嚢を食った時の効能は基本的に胆汁と同じ、すなわち脂肪の乳化であり、要は消化を助けるって事ですね。
まあその副次効果が色々あって、それらをひっくるめて効能に含めているおかげで色々な効き目がありますよって宣伝できるので。
ところでミドリガメを食材として使う上で、あの甲羅を廃棄する際にちょっと勇気がいるような気がしますが。
特にマンションに住んでいると、他入居者のごみをチェックする人がいたりするわけで、
そんな人に「あのお宅、得体の知れない甲羅をいつも捨ててるわ」と思われたら…。
なるほど、どんな動物でも胆汁は胆汁ですもんね…
でもそれを考えるとやっぱり丸飲みが一番いいのだろうか。やらないけど。
甲羅はよく煮込めばゼラチン質を放出して非常にもろくなるので、ガシガシ砕いて捨ててしまえばいいですよ。それかヘルメットですって言い張るか。
初めまして。いつも楽しみに拝見しております。実は海外(シンガポール)に駐在しておりまして、野食ハンマープライスを見ては、日本の食資源の豊富さと、奥深さを学ばせて頂いております(どれも本当に美味しそうですね!)。日本に帰国の際は、野食新年会等、エントリーさせて頂きたく思います。
因みにシンガポールの池にもミドリガメが豊富におりますが、おかげさまで次回から見る目が変わりそうです(笑)
引き続きブログの更新、楽しみにしてます。
ありがとうございます! お待ちしております!
ホントに世界中どこにでもたくさんいるカメですねぇ……。華人に「ミドリガメ美味しいよ」って伝えたら多少は数が減るでしょうかね(笑)まあ、彼らならそんなことは百も承知かしら。