※※※福岡野食会、引き続き募集中です※※※
1/25 12:00~ 福岡市 樋井川テラスにて開催
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どうも皆さん、イルカ、食べてますか?
……おやおや、食べてない人が多いようですね。もったいない、かのドロッセルお嬢様もイルカのことを「愛でてよし食べてよし」と絶賛しておりましたのに。(曲がりなりにもディズニーのキャラクターにあの台詞喋らせたのホントすごいよね)
実際、イルカは今でも地域によっては貴重な食材であり、貴重な赤身肉です。世界的な捕鯨反対の潮流に屈することなく、古くからの食文化を守ろうとしているのはさすがだと思います。みんなどんどん食べていくべきです。
えっ、お前は食べてるのかって?
あーその、すみません……食べてません……ぼく海獣臭ってやつがメタくそに苦手でして、どんなに上手く臭みをとってあっても一口食べるとウッとなるんです。
ヒゲクジラなら大丈夫なんだけど、イルカとかのハクジラ、とくにその脂身はホントだめですね……
しかし、そんなぼくでも好んで食べるものが、1つだけあります。
それはイルカの「すまし」。
すましというのはイルカのヒレの加工品で、薄くスライスして塩漬けにしたものを茹でた珍味。静岡でもっともディープな食文化を持つとウワサの蒲原・由比地区のみで売られているマニアック食材です。
見た目の黒さと弾力から「蒲原ゴム」などというおよそ食欲の湧かない呼び方もされますが、これが意外と不思議な美味なのです。
しかし、以前記事にしたときはまだ知識が中途半端で、イルカすましは一種類だけだと思い込んでいたのですが、先日、実はいくつか種類があるというウワサを耳にしました。
それは確かめてみなくてはならんと思い、田代マシオカくんの運転する車で由比に向かったのでした。
あなたはどのイルカがタイプ?
到着したのはこちら。
由比の街中を通る旧道沿いにある、秋田屋商店さん。
こちらは今ではたいへん貴重となったイルカすましの生産・販売をされているお店です。べーやん船長のご実家のご近所さんとのことで、彼にはイロイロ情報を探ってもらいました。べーやんありがとう。
お店のショウウィンドウを覗くと
あるある、3つのベンザ……じゃなくて3つのすまし。
大きさや色が互いに異なっています。
店のご主人に詳細を聞いてみると
「右上のが歯がじょうぶな人向けのこりこりしたやつ、隣のが中間で、下のはむちむちして柔らかいよ」
なるほど……部位の違いですか?
「種類が違うもんで。(右上から)マイルカ、バンドウイルカ、ツバメイルカ。」
なにー! イルカってそんなにいろいろ食用にされとるんか!
そして種類によって歯ごたえが変わるんか……なんて興味深いんだ……
全部一袋ずつください!
持ち帰り、ひとまずそのまま食べ比べてみます。
…(・〰・)…
なるほど、マイルカのはパリパリ、コリコリしていて強い弾力があります。もう少し分厚いスライスだったら食べるのに苦労しそう。
黄色いほうがより歯ごたえが強いです。黄色いのと白いのの違いを聞くの忘れてたなぁ……
イルカらしい匂いもありますが、塩気とうま味の前に存在感をなくしています。スナック感覚でポリポリいけちゃう!
ツバメイルカのはムチムチしていて舌触りがよく、噛み心地がとても良いです。こちらも匂いは穏やか、一番食べやすいかも。入門編っていう感じ。
ツバメイルカってあんまり聞かないけど、どんなイルカなんだろう?
そして食感が中間的な、バンドウイルカは……
……( × ฅ× )オゥフ
匂いが……匂いがしんどい……! これはかなり上級者向けです。これ食べ続けてたら体臭が水族館のイルカプールになりそう。
加熱したらどうなるかな? と火あぶりにしてみましたが……
うーん、全体的に匂いが強くなってしまった(;’∀’)
炙ることで香ばしさもつくので一長一短ですが、歯ごたえが失われてしまうので魅力としてはやや目減りしている気もします。もう少し分厚いやつなら美味しくなるのかも。
ラスト、料理に入れたらどうなるか。
とりあえず、シンプルに味噌汁を作り、マイルカのすましとツバメイルカのすましを入れてみました。
……ありゃ、匂いが消えちゃった。
それだけでなく歯ごたえも味も、味噌汁に飲まれてしまっています。浮き味としては優秀かもしれないけど、すましを楽しむのなら物足りない。
しょうがないので、匂いがやばくなりそうで入れなかったバンドウイルカのすましを、ひとかけら浮かべてみました。
……(≧∀≦)キター! なんと、これが今日一番美味しい!
なるほど、汁物に入れるとこの臭み(言っちゃった)が逆に魅力になるのね! そういえば塩クジラ汁とかも、汁の表面に浮いたクジラ臭い油がやったらとナスに合って美味かったもんなぁ……
味:★★★☆☆
価格:★★★☆☆
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さまざまなヘンテコ・トンデモ・絶品食材を食べていろいろな目に遭った茸本の体験記が、cakesでの連載を経て単行本になりました。
ブログとはまた違った切り口の文章をお楽しみいただけると思います。ぜひお手にとっていただけると嬉しいです!
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コメント
鹿児島の正月料理やお祝い料理で出てくる「おば」というさらしくじらに見た目は似てますね。
子供の頃海に行ったら死んで腐った海獣(何かは分からず、多分イルカ)が打ち上げられてて辺り一面凄まじい臭いが漂っていたのを思い出しました…
正直イルカ料理の匂いって↑みたいな屍臭?にしか感じられないんですよね。私が食べた料理はブロック肉だったからかもしれませんが…すましには少し興味が出ました!
今は亡き祖父が生前、戦友会の集まりで宮城の金華山に行くたびに、このイルカのサラシを買ってきて大根と一緒に味噌汁にしていました。イルカの種類は分かりませんが、幼かった私も美味しくいただいていた記憶があります。黒い皮の部分はコリコリしていますが白い部分はやや歯ごたえがありつつもサックリして、油の甘みも感じられ割と好きでした。こちらの記事を拝見して、懐かしくなりコメントさせていただきました。