ウシガエルは成体より幼体の方が「野食ネタとして」面白い

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ウシガエルの話続き。。
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後肢はフランス風に美味しく食べたが、まだ前肢と胴体、頭部そして皮が残っている。
「食料」ではなく「食材」としてカエルを見ている地域では、カエルのサイズを問わず基本的には後脚の筋肉しか食べないようで、これらのパーツの利用法にメジャーなものは無い。

これらをどうしようかと思いネットで検索すると、せつなさんところや友人・平坂さんのDPZの記事をはじめ数多の文献がヒットし、そして「どんな料理でも美味しい」という結論が導かれていた。
これはブログネタという観点から見ると非常に厄介な事態で、食材として知られ、味の良さも知られ、そして非常にたくさんの体験記があふれている状態下では、このサイトにおいて取り扱う意義は極めて薄くなる。

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ウシガエルを和食で食べてみた

とりあえず、何となくカエル料理で層の薄そうなイメージがある「和食」にトライしてみた。
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上半身はいったん熱湯で湯通しし、上腕部分を切り分けて
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酒と醤油、カエルだけで炊き込みご飯に。
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うむ。


胴体はほとんど身が無く、可食部は肋骨周りの薄い膜上の筋肉と脊椎に沿ってそれなりに発達した背筋のみのようだ。
ここと頭部、皮、内臓は汁物にしてみようか。

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すべてさっと湯通し。
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皮はきゅっと縮んで、せつなさんの言うとおり脱ぎたてのウェットスーツみたいになった。
臭いを嗅いでみると、皮のついているパーツからごくごく純粋な田圃臭が立ち上ってきた。
梅雨の合間の良く晴れた日、田植が終わったばかりの田圃のあぜ道に立って、手網片手に用水路を覗き込んだ少年のころの思い出がふわっと蘇ってくる。
問題は、その匂いが今まさに食べんとしている食材から立ち上っているということと、30歳の今でも手網片手にあぜ道に立っているという2点である。

後者は根の深い問題なので取り急ぎ放置するとして、前者は早急になんとかせねばならない。
指先でこすってみると表面の薄皮が剥がれていくが、カメのように気持ちよくぺろりとはがれてはくれない。
ペーパータオルでこすりとるなどしながらようやく一匹分を処理し、小さ目に刻んだ。

薄皮を剥くと柄がよりはっきりとした

薄皮を剥くと柄がよりはっきりとした


この時点で匂いを嗅ぐと、田圃臭はかなり収まったが、代わりにカエル臭としか言いようのない香りが立ち上る。
……
ショウガを入れよう。

その他のパーツについては
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胃袋は外側の筋肉層だけを剥がしとり、利用する。
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肝臓は純粋な田圃臭がしたので今回はパス。
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舌はぷるぷるして美味しそうなので使う。
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下処理を終えたパーツを鍋に入れ、水からぐつぐつと沸かす。
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アクを取りながら1時間ほど煮込み、皮が柔らかくなったら火を止めて味噌を入れる。

小口ねぎを散らして
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完成。

いただきマース
…(・~・´)
うん、フツーに美味しい。
フツー寄りの美味しさ。


味噌汁はそれなりに出汁が出ているのだが、その出汁が極めて素直で、魚臭さもなければ獣臭さもない純粋なアミノ酸というカンジの旨味。
薄くはないけどかといって濃くも無く、実にフツーである。

腹膜周りはしゃきしゃき

腹膜周りはしゃきしゃき


舌はぷるぷる

舌はぷるぷる


背筋はハリセンボンの身に近い

背筋はハリセンボンの身に近い

……いや、フツーに美味いっていうのは野食材としては素晴らしい利点ではあるわけですよ。
万人受け間違いないわけだから。
ただなんていうか、もうちょっとエッジが立ってくれてもいいのよ? 
贅沢なわがままなのはわかってますけど。。


炊き込みも、まあフツーですよ。
カメみたいな個性は全くなく「身は出汁ガラになり、ご飯に旨味が移る」という等価交換の法則が舌の上で実感される。
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身は柔らかく身離れもよく実に食べやすい。

味:★★★☆☆
価格:★★★☆☆

偏差値でいうと53くらいの味。

食材として楽しみたい人は成体を、ネタとして楽しみたい人は幼体を

これらの実証結果からわかるのは、ウシガエルは和食と合うようで合わないということ。
和食は食材そのものの味や個性を薄めの味付けで引き立てる料理なので、素材そのものに何かエッジの経っているポイントが必要になる。
ウシガエルは淡泊で旨味も弱くはないが素直なので、和食に使うとひたすら淡泊で素直な料理ができる。
もちろんそれがいいという人は多いので問題ないと言えばそうなのだが、個人的にはバターや香辛料でしっかりと味をつけてあげて、その中でも主張する旨味や食感の良さを楽しむ食材なんではないだろうか。
少なくとも油分は補ったほうが絶対にうまくなる。


そして、純粋な好奇心を満たすためにウシガエルを食べてみたいという人には、敢えてオタマジャクシを食べることをオススメしたい。
詳しくは過去記事を見てもらいたいのだけど、ウシガエルのオタマはデカくて食べ出があり、成体よりも「魚の風味」を残し、同時に肉の要素も楽しめる。
捕獲は容易でいくらでも採れるし、処理もとても簡単だ(数があると面倒だけど)。


なによりも「ネタ要素」としてはたいへんに人気があるようで、昨日の記事の公開ツイートよりも、公開して2年半になるオタマジャクシ記事の紹介ツイートの方がたくさんのインプレッションがあった。


僕は今後も積極的にウシガエルを捕まえて食べようと思うが、成体は純粋な食材として頂き、オタマジャクシは食レポ素材としていろいろな料理を試していきたいと思っている。


ちなみにウシガエルのオタマの食べごろは秋。
今の時期はまだ小さいのでオススメしません。

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肉・シビエ
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野食ハンマープライス

コメント

  1. とおりすがり より:

    皮、なめしたらおもしろそうですね~

  2. 翡翠 より:

    小さいオタマですが、頭と内臓とって甘露煮にしたら骨ごと行けて美味しかったですよ。
    法律上全部しめて持って帰らないといけないのがめちゃくちゃ面倒ですが…

  3. 西洋呑み屋 より:

    そう言う意味では、明治時代に日本で一番最初に紹介された西洋料理本のカレーの具は、カエルだったとか。

  4. baru より:

    「ダンジョン飯」でカエルモンスターを仕留めて食ったあとの皮を縫合してカエルスーツにする話があったなあ

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