ゴンズイ釣りの最中、アタリがあったあとに竿先がおじぎしたままになったので聞き合わせを入れてあげてみると、立派なサザエがついていた。
ラッキーと思い手に取ると、やたらと殻が汚れており、また微妙に軽い。
もしやと思い堤防に置いてみると、予想通りトコトコと歩き出した。
オニヤドカリは、水深5mくらいからより深い海にかけて生息している大型のヤドカリだ。
潮だまりでよく見るヤドカリと比べるとはるかに大きく、殻長5㎝に到達するものもあるらしい。
生息域の関係から出会うことはあまりないが、西伊豆の水深のある漁港などで釣りをしていると掛かることがる。また夜行性らしく、夜釣りだと出会える確率は上がる。
食用としての利用より、イシダイ釣りの特エサとして利用されるのが一般的だが、せっかく釣れたので食べてみたい。
●オニヤドカリを調理する
家に持ち帰ってもまだ比較的元気だった。
しばらく放置して様子を見ていると、周りをうかがいながらゆっくりと外に出てきた。
剛毛の生えた爪や歩脚はケガニのようだが、青みがかった頭部は青く、近縁のヤシガニをほうふつとさせる。
物音に異様に敏感で、ちょっとでも気配を感じると一瞬で殻の奥に引っ込んでしまうため、なかなかいい写真が撮れずに困った。
当然ながら殻から取り出すこともできないので、よく水洗いして泥を落とし、そのまま茹でてみることにしたが、これが失敗だった。
セオリーに則り水から茹でたのだが、それでもしばらくするとポロリ、ポロリと足がとれてしまった。
更に、殻の奥に入り込んだまま茹で上がってしまったので引っ張り出すこともできない。
逆さにして強く振ったが、ちぎれたハサミが落ちて来るのみでどうしようもない。
仕方なく、金づちで殻を砕いて取り出すことにした。
殻頂から割っていくと、殻の先端まですっぽりと腹部を収めている様子が分かった。
ヤドカリのサイズに対してサザエの殻が異様に大きく感じたが、これだけの家を引きずって歩くためには、腹部でしっかりと固定しなくてはならないのだろう。
取り出した身にちぎれた脚やハサミなどを添えてもっともらしく写真を撮ってみる。
甲殻類らしく真っ赤に染まり、なかなか美味しそうではある。
●オニヤドカリを食べる
背中の殻を剥ぐといわゆるミソが見えたが、大きさの割にはかなり少ない。
味は普通のカニみそと比べるとやや薄いが、風味があって悪くはない。
殻の中に身はほとんどなく、ハサミや脚も小さすぎてほとんど食べるところがない。
しかし本命はやはり腹部であろう。
薄皮の様な殻を剥ぐと、カニみそを薄くしたような茶色の汁とともに、プリッとした筋肉が現れた。
一口齧ると甘く、プリッとした食感が口の中ではじける。
風味はズワイガニにやや似ているが、食感はイセエビのそれに近い。茶色い汁はカニみそを希釈して少し泥臭くしたような味わいで単体だとどうしようもないが、身と合わさると独特の風味に感じられてなかなか面白い。
総合的に言えばアナジャコの味わいに最も似ていると思われる。
味:★★★☆☆
価格:★★☆☆☆
若干の生臭さ、泥臭さをどう感じるかで評価が変わる。
おそらく鮮度が悪いとかなり生臭くなってしまうに違いない。
今後は釣れたらすぐに氷締めにして持ち帰ろうと思う。そうすれば茹でても脚がちぎれないだろうしね。
なおイセエビ漁が盛んな地域では食用にされることもあるようだ。
味噌汁にすると旨いともあるが、殻の奥に泥交じりの海水を噛んでいるようなので個人的にはあまりやりたくはない。生きたまま取り出せるならいいのだけど…
P.S.オニヤドカリを食べた後に水を飲むと砂糖水のように甘く感じる、という噂があるらしい。次釣れたら試してみよう
コメント
オニヤドカリは、酒をばしゃばしゃっとかけるとニュルンと殻からでてくるっていうか落ちてきますよ。
なんと!
ありがとうございます、今度試してみます。。
普通に放り投げて殻を傷つけると這い出してきますよ!
あとは殻を固定しておくと出てきます