キノコ仲間の知人から「11月の頭に東京に行くので、良かったら一緒にキノコ狩りに行きませんか」というありがたいオファーをいただいたのは9月の半ばのことだった。
しかしその日以降、関東ではとたんに雨が降らなくなってしまった。
天気図とにらめっこしながら胃の痛くなる日々が続く。
何せ富山から来るお客人、関東のキノコ狩りは初めてとのことで、キノコのないショボい山は見せられない。
しかも一緒に来る彼の兄君はあの怪魚ハンター・小塚拓矢氏なのだ。
雨乞いの躍りも特大の逆さてるてる坊主もなかなか効果は出ず、この乾燥状態下でも発生しているところを探さないといけないのだという覚悟を決めた。
先日一緒に軽井沢に行った友人に声をかけて、いつものポイントを中心にしらみつぶしに探していくことにした。
乾燥時のキノコ探検
こういう時、探索のポイントになる条件はいくつかある。
①北向き斜面
降水がないとはいえ、水分が無いとキノコは始まらない。
湖や池、沼地、谷あいや沢など、ちょっとでも水っ気があるところをランガンしていく。
このとき、大事なのは方角だ。
基本的に秋のキノコは、日当たりのよい南斜面の方が出やすい傾向があるが、晩秋の乾燥した時期になるとむしろ北向きの、日当たりが悪くジメジメしたところで良い狩りができることがある。
②ミズゴケ
花屋さんには土が無いが、もちろん花が枯れずに咲いている。
保水力が高いスポンジ状のポリウレタン「オアシス」が花に必要な水分を保持しているからだ。
同じように、キノコに必要な水分を保持し、その発生を促してくれるのがミズゴケ。
柄が長く落ち葉に埋もれるように出るキノコたちはとくにミズゴケとの相性が良いようだ。
ミズゴケにおおわれると腐生菌が発生しづらくなるので種類こそ多くはないが、初心者でも見つけやすく簡単に楽しむことができるのが良いところ。
③沢
沢はよほどのことが無い限り乾燥とは無縁だ。
沢にまたがる朽ちた倒木にはたくさんのキノコが出てくれる。
ライバルのいない「自分だけの沢」をいくつ持っているかが収穫に直結する。
あるところにはあるのよね
今回はこれらのすべてのパターンがしっかりハマってくれた。
まず手始めに、湖に落ち込む尾根の北斜面で、落ち葉がふかふかに積もった吹き溜まりのような場所を見ると
ビンゴ!
食べごろのハイイロシメジとムラサキシメジが行儀よく列を作って並んでいた。
ハイイロシメジは人によってはお腹を壊すと言われているけど、実際に壊した人は見たことがない。
とはいえ採取は自己責任。
ワタシは採りますよ?だって旨いんだもん♪
9月に大量のサクラシメジを採った斜面は南向きで、尾根筋には一つもキノコが見られないほどの惨事だったが、
ミズゴケからは約束通り
シモコシが出てくれていた。
長い柄を伸ばし、必死でミズゴケの上に頭を出している。カワイイ。
ムラサキシメジも登場し、晩秋を彩るカラフルなキノコたちが目に眩しい。
乾いた尾根筋でも、クリタケの株だけは元気があった。
来週はちょうど採りごろになるかなぁ…
早回しだと思ったら遅れてやってきたり、こっちの都合なんかお構いなしなのがキノコの可愛いところ。
沢の倒木のキノコは乾燥の影響が少ないので、時期になればしっかり出てきてくれるのだが、今年はキノコ全体のカレンダーが早めに進んでいたのでどうなるか不安が大きかった。
9月には大漁を狙ったヌメリスギタケで大空振りし、なんとかヌメリスギタケモドキで溜飲を下げたこともあった。
しかしあれだけヤキモキさせておいて、結局ムキタケはきっちりカレンダー通り、ヌメリスギタケはちょっと遅めに出て来た。
ムキタケは傘径20㎝近い大物も確保。
ひょっとすると当たり年かな?
博多ラーメンに乗っていることでおなじみのアラゲキクラゲもあった。
一度発生するとその後は一雨ごとに発生するので、場所を覚えておくと一年中楽しむことができる。
低気圧ちゃんはヤる気を出せ
というわけで今のままでもなんとか戦えそうな感じはしたが、やはり一雨来てくれさえすればもっともっとにぎやかになるのは間違いない。
本来ならまだまだキノコシーズンは続いてるはずだし…
明日は雨の予報、短時間でもいいからまとまった雨が降ってくれないかな…
頼みますよマジで。
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