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「僕は君を太らせたい!」
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漫画「僕は君を太らせたい!」単行本第1巻 発売中!!
さて、件のボラをくれたおじさんだが、実はそれだけじゃなくてダツも恵んでくれていた。
ダツは「ダツ目」という硬骨魚類内のグループの代表種で、この中にはダツ、サヨリ、サンマのほかボラ、トビウオ、面白いところではメダカまでもが含まれている。
純海水魚と純淡水魚が同じ目の中に含まれているというのはユニークだ。
「ダツはサヨリを巨大にしたような魚で…」というありきたりの説明をよく見るが、さてサヨリという魚がどれだけ一般人に知られているか。
スーパーの魚売り場に流れている例の歌にもサヨリは登場するが、肝心のサヨリそのものが販売されていないのだからしょうがない。
というわけで、僕はダツを説明する時には「サンマをデカくしてくちばしがびよーんと伸びたやつ」といった説明をするようにしている。
とまあ余談はそこまでにして、実は僕自身も、これまでダツという魚をまじまじと見る機会がなかった。
今回改めて手にして、その不思議なカタチを堪能した。
ダツをよく観察する
まず気づくのが身の偏平具合。
細長い魚を見ると勝手にウナギのような円形の断面を想像してしまうが、ダツはかなり細長い楕円形で薄っぺらい。
サイズの割に食べ出があるとは言えない。
続いて体色。
青魚のようなイメージがあったが、むしろタチウオに近いまぶしい銀色をしている。
一般的に魚の体色の銀色は「グアニン」という色素で、模造真珠の材料に使われたりするものの、鮮度が落ちると生臭さの原因になるようだ。
そのため銀色の魚は食味の評価がばらつきやすい。鮮度を落とさないように保つのが何より大切になる。
そして何よりも顔。
夜行性で走光性のあるダツは、漁船の明かりめがけて猛スピードで泳ぐ習性があり、勢い余って漁師の体に突き刺さり死亡事故になることがある。
文献によっては「最も危険な魚」ランキングのトップを飾ることもあり、見た目だけでなく実際にも非常に恐ろしい魚なのだ。
夜のタチウオのかかり釣りなどで船の周りをうろうろしているのをよく見るが、いつ飛び出してくるのかとハラハラする。
ダツより大きくなるオキザヨリ
さて、ダツに非常によく似ている魚でオキザヨリというものがいる。
名前に「サヨリ」とついているが外見、性質ともに全く異なり、全長1mをはるかに超える獰猛なフィッシュイーターだ。
比較的沿岸性の強いダツとは異なり、沖合を回遊しているため釣り針にかかることはあまりないようだ。
ちょうど1年前、川崎南部市場の山定さんでこれを見つけたとき、すぐに購入を決めた。
山定さんには「変な魚が揚がってるとさ、つい買っちゃうんだよ、売れるかわかんねっけどさ!」と嬉しい言葉をおっしゃる仲買人さんがいて、結構な確率で築地では見かけないような珍魚が入荷している。
月一開催の「いちばいち」の時以外はなかなか購入の機会がないとは思うが、珍魚マニアの人は押さえておいて損はない。
値段は1㎏あたり1800円、美味しいかどうかわからない魚にこの値段はちょっと勇気がいるが、味はともかく可食部は多そうなので購入してみることにしたのだった。
見た目はそっくりだが、中身はどうか。記憶を頼りに比べてみることにしたい。
ダツもオキザヨリも悪くない
まずはダツの頭を落とし、内臓を出して良く洗う。
がその前に
…悪乗りしてすみません。お気を悪くされた方申し訳ないです。
サイズがあまりにドンピシャだったもんで、つい…
ってかこんなもん体中に刺さったら念使ってても死ぬわマジで。
あとはフツーに3枚おろしに。
皮は薄いが、包丁で簡単に引くことができる。
噂通り、プラスチックのような青緑色の中骨。
…頭飾る必要なかったかしらw
では実食。
(・~・)…
…
悪くはない。
さっぱりして、でももちもち感もあって、独特の青っぽい風味もある。
小骨もそれほど気にならない。
若干旨味が薄いけど、夏らしいさっぱりとした涼しげな味、ってことで収めよう。
味:★★★☆☆
価格:★★☆☆☆
オキザヨリとの比較だけど、オキザヨリの方がずっと大きいので食べ出があり、また身のもちもち感がよりしっかりと感じられる。
ダツ目の魚はサヨリにしろトビウオにしろダツにしろ、身のもちもち感が身上のようだ。
従って、新鮮でないものではその価値が半分以下になってしまう。
またオキザヨリの料理で断トツ美味しかったのが唐揚げだ。
下味をつけて小麦粉をはたき、揚げただけなのだがもちもちでジューシー、皮目も香ばしく絶品だった。
これは居酒屋で出したら人気メニューになると思う。
ちなみにオキザヨリとダツのもっとも簡単な区別法は、骨の色。
オキザヨリの骨は黄緑色なのだ。
いずれにしても、初めて見たときはぎょっとするけどもw
大きければ大きいほど美味しいはず
ダツにしろオキザヨリにしろ、食用価値は十二分にある魚だと思う。
もちろん針に掛かったり網にかかったりしたときの処理は本当に危険だし、小骨が多いので調理の時に工夫は必要になるけど、それでも打ち捨ててしまうのはもったいなさ過ぎる。
ダツは最大で80㎝を超える。
そのぐらいのサイズになればより食べ出もあり、もちもち感も味わえるだろう。
投げサビキで簡単に釣れてしまうようなので、姿が見えたら積極的に狙ってみたいと思う。
コメント
サヨリは季節の薬味を最大限に生かせて旬を鼻で感じられる魚だと思うんですよ。
糸造りとか、吸物とかもいいですよね。
ダツはあそこで80くらいまでなら釣れますよ。
わかってないとルアーガンガン切られますけど。
釣っても困るのは3~40cmのサヨリサイズのダツ達です。
ハマダツも時々売ってるけど、岸からは見たことないんですよね。
クルメサヨリなんかはメダカがいる近くまで遡上するので割と近縁に違和感ないかも。
あ、そうだクルメサヨリの存在を忘れてた!彼らは純淡水域まで来ますもんね。
いつだったか、河口湖漁協がブラックバスの餌にクルメサヨリを放流するとかいって話題になったことあったなぁ…
骨と身の薄さからしてサヨリサイズのダツはちょっと厳しいですね。。それとジグサビキのサビキ部分にかかってくるのはやめてほしいなぁ…