雑草なんて、毒さえなきゃだいたいどれも食べられるものだと思っている。
茹でてしまえば味にそれほど違いはないし、天ぷらにして美味しくならないものなんて考えられない。
それでもアカザ科とヒユ科のふたつの雑草については、利用価値はとりわけ高いものではないかと感じている。
個人的に、雑草の利用価値というのは「味」と「栄養価」、そして「利用のしやすさ」で決まるものだと思っていて、味が魅力なら「山菜」になり、加えて栄養価も魅力なら「野菜」として育てられ、結果的に利用しやすくなる。
アカザ科はホウレンソウやビーツなど多くの「野菜」を含む種で、代表種であるアカザとそれに酷似したシロザは、空き地では間違いなく見られる代表的な雑草だ。
ヒユ科も同様で、これまた空き地でよく見かけるアオビユ(ホナガイヌビユ)はいわゆる帰化雑草なのだが、世界中に生息し、中国ではインチョイ、オーストラリアではイーンチョイ、ジャマイカではカラルーという名前で「野菜」として利用されている。
また最近「高栄養価穀物」として注目されるアマランサスも、ヒユ科の作物だ。(アマランサスはヒユ属の学名)
これらの雑草は野菜としての実績が豊富で、かつそこらじゅうに生えていて利便性も高い。
それが「利用価値が高い」と感じる理由なのだ。
ヒナタイノコヅチもヒユ科だけど…
先日調べ物をしていて、たまたまジャマイカのカラルー料理のレシピを見かけた。
蒸し煮みたいな料理でなかなか美味しそうだったので、早速作ってみようとおもい、アオビユを探しに出かけたのだが…
雑草というものはえてして探すと見つからないもので、近くの空き地から多摩川の河川敷までとぼとぼと歩いても1本も見つけることができなかった。
諦めて家に帰ろうと思い、来た道を辿ろうとすると目に飛び込んできたのが
ヒナタイノコヅチ。
葉のようすがカラルー(アオビユ)と似ているので一瞬ぬか喜びしてしまったが、アオビユは葉が卵型に近く互生するのに対して、イノコヅチ類は葉の先端がとがり、対生する。
イノコヅチにはヒナタ、ヒカゲの2種があるが、街中の植え込みなどに生えているのはヒナタイノコヅチの方が多いようだ。
このヒナタイノコヅチもヒユ科に属するのだが、ヒユ属(アマランサス)ではなくイノコヅチ属に含まれる。
ヒユ属のものは大概が食べられるそうなのだが、イノコヅチ属はどうなのだろう。
調べてみると、ヒユと比べるとごくごく少ないながらも「山菜として利用されることがある」という記述を見つけた。
レシピを公開しているブログもある。
ここによれば、茹でこぼしてから和え物に利用できるとのこと。
早速採取して試してみることに。
味があるわけではないけれど
時期が遅く、ほとんどの株が成植物になっていたが、先端部分の若芽を中心に一束ほど採取した。
若葉は微毛におおわれており柔らかく、美味しそうだ。
…(・~・)
うーん、可もなく不可もなく。
エグ味はごくわずかで癖もなく、歯ごたえもシャキシャキして悪くはないが、個性というものがまるでない。
まあ葉っぱ系の野草なんて歯ごたえが身上、お浸しで十分美味しければ山菜としてもっと名が売れていただろう。
味:★★☆☆☆
価格:★☆☆☆☆
ヒナタイノコヅチはカラルーの代用になるか
とはいえ利用は十分できそうなので、アオビユで作ろうと思っていた料理に、ヒナタイノコヅチを使って挑戦することにした。
その名も「Steamed Callaloo&Vegetable 」
カラルーと野菜の蒸し煮!ってそのままやないかーい
レシピは以下のサイトを参考に。
夏野菜(トマト・タマネギ・ピーマン)とタマネギをザクザク切り
スライスしたニンニクで油に香りをつけ、炒める。
ツナ缶…はやけに高かったのでサバ缶で代用。
ヒナタイノコヅチは念のため一度茹でこぼして水気を切り、刻んで投入。
全体にしんなりしてきたら水を半カップ加えて、最後にタイムとトウガラシを加えてカリビアンな感じに
蓋をして蒸しあげる。
いただきマース
…(・~・*)
うん、美味しい!野菜が!w
ヒナタイノコズチはやっぱり味がないが、それでもシャキシャキ感が有って(特に茎)存在感がないわけではない。
もっともっと大量にブチ込んだ方が良かったんだろうけど、まあ初めてだし多少はね…
味:★★★★☆
価格:★★★☆☆
ジャマイカではカラルーは栄養価が非常に高い野菜として尊ばれていて、ビタミンや鉄分を摂取するためのいわばホウレンソウ的野菜として扱われているらしい。
ヒナタイノコヅチもある程度は期待できそうな気がする。
何度か食べてみてヘンなことが起きなければ野菜としての登板も…アリかな??
次回はできればアオビユやイヌビユ、ヒユの葉も採取して食べ比べてみたい。
コメント
なにげにイノコズチって食べたことなかったですが、まぁまぁイケるんですね。
食べられなくはない、って程度ですね。。道端で採れる草の中でも中の中の中、といった感じで…ヒユはきっともっとおいしいんだと思います