山菜と聞いてぱっと思いつくものを挙げてもらったら、かなりの割合で
ゼンマイ
ワラビ
コゴミ(クサソテツ)
といったシダ植物が出てくるだろう。
メジャーすぎて、普段山菜取りをしない人でも知っている。
しかし、実際のところ「山菜」としてのシダ植物は、初心者向けとは言えないものが多い。
たとえば、有名どころのワラビ、ゼンマイは強烈なアク(というより毒性のアルカロイド)を含んでいるので特殊な処理が必要だ。
そしてそれ以上に、シダの芽はたがいにそっくりすぎて、見分けるポイントを正しく覚えていないと、かんたんに間違ってしまうのだ。
ジュウモンジシダはコゴミの代わりになるか
先日訪れたとある直売所では、野菜や鮮魚に交じって山菜もいくつかのお店で売られていたので、その後に予定していた山菜取りの保険も兼ねて、いくつかの山菜を買っていくことにした。(結果的に採れたので良かったが)
ふらふらとめぐりながら見ていると、「コゴミ」と言って売られている中に、明らかに違うものが混ざっていた。
コゴミは断面が矢じり形をしているのだが、この「コゴミ」は茎の断面が丸く、全体に荒毛が生えている。
これは…
タケノコとフキを購入し、代金を渡しながら、店主のおじいちゃんに聞いてみた。
「すみませんこれ、ジュウモンジシダですよね?」
「いんや、これはコゴミだ。茹でて食ったらうめぇぞ!」
…
(もしかすると外房ではジュウモンジシダも「こごみ」の一種なのか…?
まあいいや、ジュウモンジシダも山菜の一つだし、食べたことないから買っていってみよう。)
ジュウモンジシダはウラボシ目オシダ科に属し、メシダ科に属するクサソテツ(コゴミ)とは科が違うので近い種とは言えない。
上記の通り見た目も大きく異なっており、全く山菜に詳しくない人なら間違うこともあるかもしれないが、ちょっとかじった人ならすぐに違うものとわかる。
山菜図鑑を引っ張り出してジュウモンジシダのページをみてみると、「アクもなく食べやすい」と書いてあったので、コゴミと同様まずは茹でてみることに。
シダ系山菜は茹でると葉緑素が抜けてしまうものが多いが、それにしても…
コゴミが鮮やかな黄緑になって美味しそうなのに、ジュウモンジシダはまるでイモムシのようだ。
ハバチの幼虫が丸まって擬死する姿にとても似ている。
シンプルに、マヨネーズをつけて食べてみると…
(*~*)
…固い。渋い。青臭い。舌もちょっとしびれる。
毒はないかもしれないが、身体の危険を感じる味わい。
そしてなにより、美味しくない。
味:★☆☆☆☆
価格:★☆☆☆☆
おかしいなぁ、山菜としてそれなりに本にも掲載されているんだから、こんなにまずくちゃダメでしょうに…
もしかすると、よく似た別種ってこともあるかもしれない。
まあいずれにせよ、買ったのが僕で良かったですよおじいちゃん。
本当にジュウモンジシダだったとしても、それをコゴミと言って売ってはいけません。
コゴミの方がずっと美味しいからね。
コメント
これ採って食べて同じこと思ったことありますわ
売ってたら商品偽装以外の何者でもないっしょ
問題はじいちゃんが知ってて売ったのかそうでないかということなんですが、調べてみてもジュウモンジシダをコゴミと呼ぶ文化は無いようなのです。
朝市は出店者の良心に依るところが多いですからね、あんまり変なことやってると問題になると思いますけどね。