大潮の夜に小磯をうろうろするのが本当に楽しい。
夜のタイドプールは生きものたちも元気で、水たまりの中でも活発に活動している。
固着系の生きものも、夜は信じられない速度で動くのだ。
移動中のヒザラガイなどはかなりのインパクトがある。
逆に、昼間は素早いフナムシは、夜になると油断しきってのそのそ歩いているのでフナムシ恐怖症の人にもオススメである。
はじめてのカコボラ
さて、昨晩もエクストリーム帰宅をかましつつ磯辺を歩いていると、もじゃもじゃとした塊が足を出して歩いていた。
捕まえて手に取ってみると、それはサザエをやや細長くしたような巻き貝だった。
初めは殻が海藻におおわれているのかと思ったのだが、どうやら自前の毛のようだった。
その場で調べてみると、カコボラという小型のホラガイの仲間のようだ。
ホラガイ類はイセエビの刺し網でよく掛かり、産地では格安で売られているのを見かけることもあるのだが、カコボラというのは初めて見た。
そして、売られない理由もすぐにはっきりした。
こいつ、貝のくせにテトロドトキシン(フグ毒、以降TTX)持ってやがる!
いや、実際はフグは貝類や多毛類などを食べてTTXを蓄積していくので、貝が持っていてもおかしくはないのだが…
それ以外にもホラガイ類にありがちな唾液腺の毒も持ち合わせており、直売所等で売ろうものなら即回収&ニュースでさらし者のコンボは確定的である。
しかしさらに調べてみると、TTXを持つのは内臓だけで、肉は無毒で美味しいという。
なんとまあ、初めて食べた人間をホメてあげたい食材であるが、ぜひとも自分でも確かめてみたいと思い持ち帰ってきた。
カコボラめっちゃ美味いやんか
さて、新鮮な巻き貝の身を味わうなら、とりあえずは刺身が良いだろう。
そう思い、サザエの要領で身を取り出そうとしたが…
殻の入り口が小さく、また身も奥に閉じこもってしまい出てこない。
人差し指の関節がおかしくなるまでトライしたが、やっぱりダメだった。
次に、ツブ貝の要領で、取り出すための小さな窓を開けてみた
ここから身に竹串を刺して引っ張ってみると、蓋とその周辺の足はとれたが、残りが殻の中に残ってしまった。
仕方ないのでこの部分だけを刺身にする。
目玉のような斑点模様が非常に不気味だ…うごめく足もどことなくミギーをほうふつとさせる。
塩でもんでぬめりを取って、醤油で食べてみた。
…(゜~゜)
なにこれ美味しいんですけど。
サザエよりもやや柔らかく、磯臭さや生臭さはほとんどなく、そして非常に甘い!
本家ホラガイよりも味は上かもしれない。巻き貝類トップクラスなのは間違いない。
味:★★★★★
価格:★★★★☆
残った足は仕方がないので殻を砕いて取り出すことに。
破片やら竹串やらが刺さって傷だらけの手で扱っているので、すでにTTXが体内に回っているような気がしてきたが深くは気にしないでおこう。
内臓はきれいなクリーム色で何も知らないと食べてしまいそうだが迷わず捨て。
致死量には満たないとしてもTTXは怖すぎる。
唾液腺の毒はタンパク質らしいので、唾液腺周辺部の足はしっかりと加熱し、バター炒めで食べてみることに。
…(゜~゜*)
いやーこれも美味しい。
加熱することで身質が固く締まるが、サクサクとして歯ごたえがよく、香りも非常に良い。
味:★★★★★
価格:★★★★☆
カコボラ狙いで夜磯に繰り出したい
これほど美味しいにもかかわらず、市場価値も漁業権もないカコボラ、TTXにありがとうと言いたい気分である。
ただ殻が大きくて身が小さいので、今後捕まえたら最初から殻を砕いて取り出したほうが良さそうだな…
と思ったら、酒で身を取り出せるという情報が!
これはホラガイの話だけど、カコボラでもできないか、今度やってみよう。
毛を剥ぐと非常にきれいな殻をしてるんだよね。
コメント
以前、ホラガイの仲間と知らずに丸ごと茹でてみたことがあり、あまりの渋さに喉が受け付けず断念したことがありますw
こいつもそうですが、ホラガイの仲間ってみんな刺身で食べるにもヌメリが凄まじくないですか?
サザエよりずっと甘いと思うんだけど、毒とヌメリの手間のダブルパンチで余計売れんのではないかと。
で、5年くらい前に魚介のヌメリに酢が効くことを知り、あまりの楽さに最近は問題ないものは塩から酢に変えました。
どれくらい凄いかって、タコのヌメリ取り10分が2分に縮むレベル。
タコ1kgに対してお猪口一杯×2回でよいので、ホラガイ1個なら一振りで良さそうなんですが、あれから遭遇していないので機会あったら試してみてください。
え、酢でヌメリとれるんですか!?知らなかった、それはぜひやってみたい…
これまで塩か片栗粉でしかやったことなかったんですけど、酢でとれるなら一番楽ですよね。中和されるんだろうか…
ホラガイは確かにヌメリすごいけど、ヌメリが臭くないんで個人的にはあまり気になったことはないです。身も大きくないし、唾液腺とったら可食部なんて全然ないですけど、それでもあの甘みは捨て置けないですね。
あまりの衝撃にコメントさせていただきます!
有毒とは知らず、甘さが好きで何度も食べちゃってました(;๏д๏)
焼いて身を取り出して、よく洗ってから身だけ食べたり、丸茹でして身の部分だけ食べておりました(ノ゚ο゚)ノ
ヌメリ&肝を食べなかったから、無事でいられたのでしょうか( ・ั₃・ั )?
有毒と知っても、的確な処理を知ったからには、これからもカコボラ食べたいです(*˘︶˘*).。.:*♡ www
カコボラの毒で死んだ女性が…
なんてニュースにならないよう、気を付けながら食します(笑)
ご無事で何よりです!(笑)
まあ、仮に内臓を食べても即影響が!? という含有量ではない気がします。小さいですしね。
もちろん一気にバケツ1杯とか食べちゃうとヤバそうですけども。。