外房の魚屋巡りの道中、ちょっとわき道にそれてみると、たくさんの山菜を見つけることができた。
やはり温暖な外房、春が来るのも早いようだ。
とくにタラの芽に関しては、大きく伸びているものから固く締まった上等なものまで、いくつも見つけることができた。
しかしその中で一つだけ、見た目は似ているがよく観ると違うものがあることに気づいた。
「タラの芽ダマシ」のカラスザンショウ
全体に棘が生えており、頂生する芽などぱっと見はタラノキなのだが、複葉の部分にタラノキ特有のそそり立つ棘が無く、他の棘も非常に軟弱だ。
またタラの芽は全体にやわらかい毛が生えており、ビロードのような触り心地なのだが、これはつるつるして光沢がある。
さらに、折り取って断面の匂いを嗅ぐと、アゲハチョウの幼虫の角(臭角)のような強い柑橘様の香りがした。
タラの芽ならウコギ科特有のさわやかな青い香りがするのだが…
調べてみるとこれはミカン科サンショウ属のカラスザンショウという木のようだ。
芽の状態では似ているため、タラの芽と間違われる悲劇がしばしば発生しているらしい。
カラス~とかイヌ~という和名の植物は多いが、これらの冠詞は「役に立たないもの」という意味なので、薬味の山椒としては使えないということなのだろう。
しかし、僕は自他ともに認めるサンショウ大好き人間。
麻婆豆腐の表面が見えなくなるほど花山椒をかけ、サンショウの若葉をたっぷりぶち込んだ京料理「山椒鍋」を愛するものとして、カラスザンショウも愛でることができるのではないかという根拠のない自信があった。
タラの芽に似て、コロコロと太い芽のようすも食欲がわく。
天ぷらにしたら意外に美味しいのではないかという気もする。
とりあえず、2つだけ収穫し、持ち帰ってきた。
サンショウでもタラの芽でもなかった
改めてタラの芽と比較すると、共通点は棘と複葉くらいで、全く違う種であることがよくわかる。
棘がなければ、むしろ先日食べたチャンチンや、毒草であるヤマウルシに似ているかもしれない。
天ぷらが大本命だと思うが、カラスザンショウそのものの風味も味わってみたかったので、中心部のとげの柔らかい芽を摘んで、茹でこぼしてみた。
おひたしにして食べてみると…
(*~*)…
バニラみたいな甘いにおいがする…
採取したときはわりと自然な柑橘の匂いだったのに、火を通すと匂いがシャープになって、人工的な臭いになってしまった。
少なくとも醤油とは合わない。
味:★☆☆☆☆
価格:★☆☆☆☆
この時点で天ぷらへの期待もダダ下がりだったのだが、どうせ他の山菜も天ぷらにしてしまうので、一通り揚げきって、最後にカラスザンショウを油に投下した。
見た目はまあ、いいとして…
(;~;)…
牛乳石鹸の匂いになった…
高温で揚げることでより一層シャープになった人工的な甘い臭いが、衣の下から鼻腔を直撃する。
苦いとか固いとかではない、新たな形の物理攻撃に戸惑いを隠せない。
味:★☆☆☆☆
価格:★☆☆☆☆
カラスザンショウは料理以外に使おう
というわけで期待とは裏腹に、山椒としてもタラの芽としても利用することができなかったカラスザンショウではあるが、この匂いの独特さ、ケミカルっぷりは料理以外の形で何か活かせるのではないだろうか。
たとえば…アゲハチョウの幼虫をカラスザンショウの葉で養殖して、その臭角を集めて兵器に利用するとか…
考えただけで頭痛がしそうだ。。。
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