先日採ってきたムラサキシメジ。
フレンチ風に料理しちゃるばい、と思い、むかし南仏はカンヌで購入したキノコ図鑑を引っ張り出してきたが、これがなかなか面白くて、改めて読み込んでしまった。
ハツタケやアカモミタケ(Lactaire délicieux=美味なベニタケ科)、ショウゲンジ(Pholiote ridée)シモフリシメジ(Tricholome prétentieux)など、日本で食用にされている多くのキノコがヨーロッパでも愛されていることがよく分かる。
これらの種を含め、当地でメジャーな野生キノコならびに毒キノコの紹介、見分け方が載っているのだが、書籍全体の半分以上のページは食味そしてキノコ料理のレシピについてであった。
日本だとここまで割り切って食味について掲載している図鑑は少ないかもしれない。
というかそもそも天然キノコに対するアプローチが「汁物(鍋・そば・うどん)、炊き込み、佃煮」程度しかないので、レシピをまとめる必要もないのだろうか。
そのラインナップで美味しくなるキノコならいいけど、それ以外が迫害されちゃうのが日本のキノコ料理界の偏屈なところやと思うザンス。
閑話休題。
ムラサキシメジについて調べようと思い、「Pied bleu」の文字を探してみると、写真は1枚だけ載っていたのだがレシピなどについて言及はなかった。
有名すぎる上に栽培もされているので、わざわざページを割くまでもないという編集者判断だろうか。
仕方がないので似ているキノコを探そうとページをめくっていると(図鑑なのに目次が無い!)近縁種らしきPied violetというキノコが載っていた。
晩秋から初冬に落ち葉の上に発生、全体的に紫色でヒダは密、など、日本のムラサキシメジに近い特徴が記載されていた。
リード文には「傘が灰色で不吉だが足が紫で魅惑的、食べても美味しい!」とのこと。
ライターの主観入りまくりだなw
オススメ料理は…ふむ、Pied bleuと一緒に、マリネが美味しい、か…
ちょうどキノコ友達にも「色を活かしてピクルスにしたら?」とアドバイスをもらってたし、マリネにしてみようかな。
彩りキノコのマリネfeat.ムラサキシメジ
とはいえ今回採れたムラサキシメジだけでは量が少なすぎるので、他のキノコも一緒にマリネにしてみよう。
ということで手に入れたのが
日本でもおなじみになってきたデカいマッシュルーム(Les Champignons de Paris)、
そしてまだまだマイナーなトキイロヒラタケ。
白、ピンク、紫とあれば彩りよく仕上がるのではないかと期待して揃えた。
ここにアカモミタケもあれば最高だったんやけどね。
これらを多めのオリーブオイルでさっと炒めて、
塩で軽く味付け。
しんなりしてきたら砂糖、ワインビネガー、水を適宜入れて、ボウルに入れて急速冷却。
ローリエと粗挽きコショウで香りをつけて…
ムラサキシメジの“埃臭さ”は素晴らしい個性
まあいいや、いただきマース
…(・~・´)
…あー、なるほどね。
まず露払いのマッシュルームだが、これはまあ文句なく美味しい。
よく考えたら日本で食されるようになって長い割には、一般家庭で使いこなされている感じがしない(水煮缶をを適当にパスタに入れる一方で、生のままサラダに供されたり)ところは、やはりこのキノコが和風のキノコ料理に活用しづらいことが原因の1つなのだろう。
その分オリーブオイルとかバターとか、油で炒める料理には抜群に相性がいい。
そして鞘持ち、トキイロヒラタケ。
ヒラタケの仲間だが肉が薄い上にやや固く、粉臭さもあるということでメジャーになり切れていないのがかわいそうだが、マリネにすればそれほど気にならなくなり、ヒラタケならではの濃いめの旨味や香り、食感が楽しめる。
色があせるのが本当にもったいない…
そして主役、ムラサキシメジ。
一口食べて、びっくりするほどの野性味と香りにビビる。
埃臭いといえばそうなんだけど、じゃあダメかっていうと、オリーブオイルとか酢とかローリエとかコショウとか、様々な香味が混ざり合う中ではこれくらいの個性が無いと突き抜けられないんじゃないか、という思いが出てきて否定する気になれない。
というか、素晴らしいわコレ。
確かにこの味、和食に使うにはじゃじゃ馬過ぎるね。
佃煮とか濃いめの味付けならいいかもしれないけど、「打ち消してやろう」という考え方で料理に使うのはたいへんもったいない気がする。
茹でこぼすとかもってのほか。
バターでも何でも使って、この個性と張り合えるような強い味わいの料理がいいと思う。
それはやはり「洋風料理」なんでしょうな。
味:★★★★☆
価格:★★★☆☆
ちなみに広葉樹林産と竹林産ではほとんど違いを感じなかった。
ただ広葉樹林産の方が肉厚で食べ出があるので、本気でシロを探すなら広葉樹林を漁ったほうがいいかも。
竹林のは見つけやすいから初心者向けでいいんだけどね。
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