干潟は何もないように見えて、泥質や水位、堆積具合や障害物など様々な変化が存在する。
平凡な堤防でも釣果の差が生まれるように、干潟遊びでもポイントをしっかり見極めることが「掘果」の差につながってくる。
マテガイなら何はなくともフロンティア(水際線)。
アサリは流心から外れた、砂の上に泥が積もったようなところ。
ホンビノスやサルボウは岩や壁などの障害物の際。
アナジャコはヘドロのような細かい泥の堆積するところ。
このあたりのポイントを押さえておけば、はじめての場所でもそれなりのものを得られると思う。
「ワケノシンノス」は東京湾にもいる
先日の干潟遊びの時、流木の際でホンビノスをせっせと掘っていると、木の際でふわふわと触手を開いているイソギンチャクを見つけた。
緑色の触手に混じって白色の触手が生えており、メッシュを入れたようで少しオシャレだ。
調べてみると、タテジマイソギンチャクのようである。
砂に埋もれながら触手を開いているようすは、一般的な「岩に張り付いている生きもの」というイメージからはかなり遠いものに見えるが、実際は砂の中の牡蠣殻やアサリの殻にくっつき、そこから伸びている。
また、近くには別の種類のイソギンチャクも見られた。
半透明で縞の入った触手が特徴的なこの種は、どうやらイシワケイソギンチャクのようだ。
先日、熊本の姉から送ってもらった有明海の名産「ワケノシンノス」と同種である。
有明海以外にも生息し、かつては浦安周辺でも食用にされていたとは聞いていたが、実際に見かけると嬉しい。
せっかくなので採取して持ち帰ってみることにした。
イソギンチャクに気付かれないよう、10㎝ほど離れた所からゆっくりと掘り進め、20㎝くらいの穴が開いたところで横からがばっとすくい上げるように掘りぬくが、彼らも予想以上に深いところに根を張っており、途中でちぎれてしまうものもあった。
悪いことをした…と思ったが、イソギンチャクは足盤の一部から再生が可能らしいので、彼らにとってはまだマシな結果だったのかもしれない。
ぱっと見たところ、タテジマとイシワケは三番瀬では2:1くらいの割合で生息しているようだった。
せっかくなので、タテジマのほうもいくつか採取して帰ることにした。
三番瀬のワケノシンノスを食べる
どちらのイソギンチャクも固く縮こまってしまっているが、それでも種類の違いは分かる。
タテジマイソギンチャクは名前の通り胴の部分に縦縞が走っており、また触手が太短い。
ときに青みがかった個体も見つかる。
対してイシワケイソギンチャクは、縮んでも触手が外に開いたままだ。
確かに先日送ってもらったものも、触手がはみ出していた。
先日一度料理しているので調理に不安はない。
縦に切って流水でよく洗い、噛んでいる砂を落とす。
ものすごく生臭いので、塩を大量に振り掛けてよく揉み、ヌメリと臭みを落とす。
ニンニクを利かせたオリーブオイルで炒め、白ワインを振り掛けて蒸し焼きにした。
完成。
(・~・)…
悪くないね。
鮮度の差か、今回のワケはとても固く締まっており、噛むと表面の皮がシャウエッセンのようにパリッとはじける。
歯応えと潮の香りがあって、まるで貝とホヤを同時に食べているようだ。
タテジマとイシワケの違いに関しては正直なところ分からなかった。
タテジマの方がよりパリッとしていたようにも思えるが、もっと大量に採って比べてみないことにはわからない。
普段食べられない種でも実は美味しかった、ということが判ったので良しとしたい。
味:★★★☆☆
価格:★★★☆☆
潮干狩りの際に見かけたらぜひ食べてみてください。
結構いるから、根気よく集めたらそれなりの量にはなるよ。
コメント
初めまして。
昨年までは貝、昨年から山菜に興味を持ってしまった者です。
ネットで、シシウドとウドの違いを探していて辿りつきました。
幾つか読ませて頂きましたが、感性とアドベンチャー精神に溢れた文章が大好きです♪
私は九州在住ですが以前関東にも住んでいたので懐かしく、そして今後の参考になります。
今後も楽しい記事、アップしてくださいね(^^)/
コメントありがとうございます!
読んでいただいてありがとうございます!これからもぬるぬるアップしていきますんでよろしくお願いします。
九州なんですね!僕も昔福岡に住んでいましたが、東日本とはまた違った山菜や魚があって面白いですよね。
当時は貝も魚も山菜も近所の室見川で全部まかなってましたw
面白いものが獲れたらぜひ教えてください!