湾奥で潮干狩りをしていると、しばしば小さいサルボウガイが採れる。
小さくてもプックリと膨れていて、縞模様もきれいでこどもたちなどは喜ぶのだが、意外と殻が分厚くそれ程食べ出がない。
しかも真っ赤な体液のヘモグロビンが料理を濁らせてしまうので、例えばアサリの酒蒸しなどに混ぜると、まるで魔女の料理みたいになってしまう。
砂を吐ききらないこともあり、あまり喜ばしい獲物ではない。
しかし、アカガイほどではないにしろ、サルボウガイもある程度大きくはなる。
そうなると身の詰まりも良いので、剥き身や、アカガイの代用品としての需要が出てくる。
安い赤貝の缶詰めはだいたいサルボウガイが原料になっているし、煮物用としてスーパーでも売られている。
サルボウって生ダメなのかな?
しかし、本家アカガイには生食の需要が大きいのに、サルボウガイでは全くと言っていいほど聞かれないのはなぜなのだろう。
調べてみると、サルボウガイはアカガイと比べて身の赤みが弱く、刺身としては代用品にはなり得ないのだという。
本当かな?確かに日本人は見た目にこだわりすぎるきらいがあるからなぁ…
後はアカガイに比べ小さいから、という話もあった。
そんなこと言うなら
このサイズではいかがでしょうか。
先日の潮干狩りの際、地面に熊手を突き刺した瞬間にすごい勢いで血が噴き出したのでおしっこちびるかと思ったのだが、正体はこの巨大サルボウガイだった。
殻幅7cmくらいで、サルボウガイとしては非常に大きい。
これなら十分に刺身にできるでしょう。
ということでやってみよう。
サルボウガイとアカガイの刺身を造って比較する
せっかくなので本家アカガイも同時に造ってみようと思い、吉池で購入してきた。
宮城・閖上産の最高級アカガイである。
どっしりと大きく持ち重りがする。
1個200円なので、これで寿司を握ったら2カンで600円以上になるだろう。
まずは殻を剥く。
アカガイ類は口がギザギザにかみ合っており、口から貝剥きを入れることができない。
なので蝶番に斜めに刃をあてて
くいっと捻ると
殻がずれてナイフを入れる隙間ができる。
貝柱を切り、殻を取れば剥き身の完成。
滴った血がスプラッタホラーのようだ…
剥き身を比較。
色が薄い…かなぁ?それほど違いを感じない。
しいて言えばアカガイはよりピンクがかっていて、サルボウガイはオレンジ色が強いかもしれない。
ひもと貝柱を採り、足とワタだけにする。
サルボウガイのワタが異様に膨らんでいるが、これは卵を持っているということなのだろう。
アカガイ類の卵は毒があると聞いたことがあるので、きれいに取り去らないといけない。
まな板の上に横向きに置き、ワタから包丁を入れて足の先端の手前で止め、蝶の羽のように開いて中腸腺をそぎ取る。
軽く塩もみして水洗い。
大きさの差こそあるものの、サルボウガイでも刺身には十分な大きさ。
色味もよく、このまま出てきても違和感はない。
サルボウガイの刺身は…
さっそく食べてみる。
醤油をつけて…
…(・~・)
アカガイは全く期待通りの味。
キュウリのようなさわやかな青い香りがあって、コリコリとしていながら柔らかく、甘みも十分だ。
対してサルボウガイ。
…(・~・´)…Σ(゜*゜;)
香りはアカガイと全く変わらない。
味も甘みが軽いけど、悪くない。
でもなんだろう、舌がピリピリしびれる…
別の個体も試してみたが、やはりピリピリとして、喉も少しいがらっぽく感じる。
卵のせいか…?いや、よく洗ったからなぁ…
味:★★☆☆☆
価格:★☆☆☆☆
ぼうずコンニャクさんをはじめ、サルボウガイの刺身が美味しいと書いているウェブサイトはいくつかあったので、今回の実験だけでサルボウガイの刺身がアレだと決めつけるのはよくないと思う。
思うけど…今後はいいや。おとなしくアカガイ食べよう。
次回は身近なアイツとか意外なアイツとか、刺身で食べてみるよ。
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