夏の夜の投げ釣りは至上の快楽のひとつである。
涼風に吹かれてビールを飲みながらまったりのんびり、時にうつらうつらしていると、突然鳴り響くドラグ。
(大物がかかったときに竿を持って行かれないように、強く引っ張るとリールから糸が勝手に出ていくようにする仕組みのこと)
暗闇の水面に現れる意外なほどの大物。
溢れ出る脳汁。
しかし、なんといっても魅力的なのは、その外道勢の多彩さ、そして大きさだろう。
先日、某川河口でキビレ狙いの投げ釣りをしたところ、本命らしき魚はバラしてしまったが、代わりにゲットしたのが
クロウシノシタ
そして
ホタテウミヘビ
どちらも大物だが、特にクロウシノシタは37cmとこの種では最大に近いサイズだった。
ある意味本命より(ネタ的に)嬉しいこれらの外道。
ていねいに締めて持ち帰ってきた。
シタビラメを、刺身に?
ウシノシタは「牛の舌」に由来する和名なのだが、クツゾコ(靴底、有明海)、ゲタ(下駄、瀬戸内海)そしてシタビラメ(舌平目、全国)という名前がより知られている。
かつては地域的な惣菜魚として利用されてきたが、フレンチのLa sole meunièreで全国的に知られる存在になったようだ。
日本語のメニューでは「シタビラメのムニエル」なんてカッコいい呼び名になっているが、フランス語でもソール=靴底なのがほほえましい。
また、有名になったのがムニエルであることからもわかるとおり、基本的には加熱料理に使われるものである。
その理由として、大きさの割に非常に扁平であることが挙げられる。
あまりに薄っぺらいので、調理に当たって、下ごしらえの後に包丁が加えられることはほとんどない。(飾り包丁くらいはあるかも)
そのままでもすぐに火が通り、パリッとした食感になるのでフランス人に好まれたのだろう。
しかし今回はデカいのが釣れたので、敢えて刺身にしてみようと思う。
ぼうずコンニャクさんのところでは刺身・寿司ともに高評価だったし、そもそもカレイ・ヒラメなど平べったい魚は刺身が美味い。
シタビラメだけ美味しくないということはちょっと考えづらい。
シタビラメの刺身を作る
内臓を取り、皮を剥く。
カレイの仲間では時々あるものだが、このシタビラメも頭からぺろりと皮が剥けるのが面白い。
偏平なので、5枚下ろしにする。
するのだが…1枚1枚のサクが非常に薄っぺらく、ちょっとでもミスをすると食べるところが無くなってしまうので緊張感がハンパない。
小出刃の切端を鋭利に砥ぎ、中骨に切っ先をこすりつけるようにして、ぎりぎりまで肉をこそげとる。
なんとか4サク取り切ったのだが、1枚の厚さが2~3㎜しかない。
これ、味わえるのか…?
薄皮を引いて刺身に。
肉の量少ねぇ…(;;)
まあしょうがない、いただきましょう。
…(・~・)
…食感はいいかなぁ。
プリッとしていて歯切れよく、繊維質だ。
一切れ一切れはまるで薄造りだが、薄さの割にはしっかりと噛み応えがある。
味は…決して悪くはないと思う。
旨味、甘みも感じられる。
ただなんというか、カレイ系には多いんだけどわずかな酸味があって、そのせいで味のピントがずれてしまうような気がする。
連れは美味しいと言っていたので好みの問題かもしれないが…
味:★★★☆☆
価格:★★★☆☆
店で買うと決して安くはない魚で、むりくり捌いてもこれだけしか量がとれず、それも絶品!というわけではないのだから、敢えて刺身にするよりは火を通して可食部を全部いただくほうが楽しめるような気がするね。
今回はアラを薄味の煮つけにしたけど、頭部の身が大変美味しゅうございました。
西日本にいるオオシタビラメは体長70㎝を超えるらしいが、そういうのなら刺身にしても楽しめそう!
手に入ったら試してみたいなあ…
コメント
こんにちは!水産系の大学に進学したこともあり、いつも楽しくブログを拝読させていただいています。クエを釣った時はブログを参考にさせていただき内臓までおいしくいただきました。
私の住む県ではシタビラメを「れんちょう」という名前で販売しております。
で、そのれんちょう、15㎝くらいの小型のサイズのものを、皮と内臓をとってそのまま輪切りにして(せごし)食べると身の甘みを感じとてもおいしいです。
大きいサイズのれんちょうの刺身は食べたことはありませんが、大きくなっていくにつれ味が衰えていくのでしょうか?
次にシタビラメが手に入った際はぜひせごしで召し上がっていただきたいです。
余ったせごしは柚子の皮と酢で漬けるとまた美味ですよ