先月、見頃を迎えていたアジサイを見に鎌倉・長谷寺に行った。
境内にはタブノキの古木があり、まだ未熟な果実をたわわに実らせていた。
タブノキはクスノキの仲間の常緑広葉樹で、温暖な地域の照葉樹林を構成する重要な種の一つだ。
関東だと外洋に面した海岸林でよく見かける。
落ちている実はないかと境内をうろついたが、さすがは古刹と言うべきか、地面はきれいに掃かれていて落ち葉の一枚さえも残ってはいなかった。
この気なんの木気になるブロッコリーツリー・タブノキ
少したって先週末、都内の公園を歩いていると、ブロッコリーみたいな形をした木に大量の小鳥が集まっているのを見つけた。
木の形状が鎌倉のものと違いすぎて、公園を案内いただいた方に「これはタブノキですね」と教えられるまでそうだと気づけなかった。
タブノキは同科のクスノキと同様高木になるのだが、横に枝が広がってこんもりしたシルエットになることも有るようだ。
赤く目立つ果柄の先に大量の熟した果実がなり、小鳥たちは競ってそれを口に入れていた。
彼らに謝りつつ、10個ほど失敬して持ち帰ってきた。
タブノキはちっちゃいアボカド?
持ち帰ってきたタブノキの果実。
未熟なうちは緑色だが、熟すると紺色~黒褐色になり柔らかくなる。
割ると中から巨大な種と僅かな量の黄緑色の果肉が顔を出す。
この姿、どこかに見覚えはないだろうか。
実はタブノキは資料によっては「クスノキ科アボカド属(ワニナシ属)」とされることもあり、アボカドと近縁種なのだ。
そのため果実のようすもごく小さいながらアボカドに似ている。
食べてみたという人のレポートもネットに散見され「アボカドそのものだった」というような話から「全く別物」という声まで評価はばらついているようだ。
早速、自分でも食べてみることに。
…(・~・)
…
…
……あっ
ちょっとアボカドっぽい。
アボカドって、皮のすぐ直下と種の周辺に少しエグ味があって、青臭い中にクリームの様なコクがあると思うんだけど、タブノキの果肉はまさにそのカンジ。
果肉だけ大量にあれば、きっとその中心部分はアボカドと同じような味になると思うんだけど、少なすぎて果皮と種子が接近しすぎているのでエグ味の部分しか残っていない。
クスノキの仲間には、果実に糖分の代わりに脂肪分をため込んで鳥などの伝搬者を呼ぶものがいくつかある。
このタブノキもおそらくはその仲間で、鳥たちも次から次に果実を食べては排泄し、公園中に種子をまき散らしていた。
ただ、種子の周りにあるジェル状の部分はごくわずかだが甘みもあり、それも鳥たちの食欲を刺激しているのかもしれない。
人間にとっては、タブノキの果実は果肉の量が少なすぎ、またジェル状の部分が石けんのような化学的な甘ったるい匂いで食用には向いていない。
味:★☆☆☆☆
価格:☆☆☆☆☆
品種改良などで果肉の量を多くできたら使い道はあるかも…?
でもまあ、アボカド輸入したほうが早いよね。
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