ゴンズイ釣りで嬉しいのは多彩な外道。
あくまでゴンズイがメインで外道は外道なのだが、それでもありがたい。
ゴンズイの外道でもっとも存在感があるのはやはりカサゴだろう。
ゴンズイのぬるっとした微かなアタリではなく、激しく竿先に反応が出るのでカサゴが掛かったとすぐに解る。
ちなみにゴンズイ釣りの最中にカサゴの背鰭に刺されると、その後ゴンズイを針から外す時に傷口からゴンズイの毒が入るようで、涙目になるくらいの痛みが出る。
魚に詳しい生きものライターのHさんに聞くと、そもそもカサゴ自体にも毒があるようで、個体によっては刺されるとかなり腫れる。
合わせ技で来られると対処が難しい。
夜釣りの際は特に気を付けたいところだ。
さて、今回のゴンズイツアー2015緒戦では珍しくカサゴの入れ食いに遭遇した。
ブラクリごと飲み込むほどに活性が高く、多くはリリースしたものの、鰓を傷つけてしまった3匹は持ち帰ってきた。
大きいものは23cmほどあり、味を想像して涎が止まらない。
20cmもあれば刺身も楽しめ、味の良さは改めて語るまでもない。
メバルとどちらが上か、なんて不毛な論争が起こることもあるが、個人的にはカサゴが上だと思う。特に同サイズなら。
以前大きめのカサゴが釣れたとき、知人のシェフに「カサゴはズッパディペッシェが美味いよ!」と言われたことがある。
その謎の語感の良さでずっと気になり続けている。
今回は十分な量のカサゴが手に入ったので、ぜひそのズッパディペッシェとやらに挑戦してみようと思った。
カサゴのズッパディペッシェとは?
ネットで調べてみると、ズッパはイタリア語で「スープ」、ペッシェは同じく「魚」という意味だそうで、直訳するとsoup of fish、魚のスープという、語感の割に特にひねりのない名前だった。
しかし同じ「魚のスープ」という意味のフレンチ「スープドポワソン」とはかなり違う料理のようだ。
スープドポワソンは有名な「ブイヤベース」の素になるスープで、売り物にならない雑魚をワインとトマトで煮込み、ザルで漉したものだ。
ネンブツダイが爆釣したときなどに重宝するレシピである。
対してズッパディペッシェは、丸のままの魚を煮込みながらダシを取り、他の海産物と合わせて作るイタリア風寄せ鍋といったカンジか。
であれば何よりカサゴが向いているだろう。
丸ごと煮込んだときに、カサゴ以上にダシがでる魚はいない。
(ちなみにブイヤベースの本場マルセイユにも『カサゴの良いのを忘れなさんなっ♪』といった歌があります。)
カサゴのズッパディペッシェを作る
さて、ということで早速ズッパディペッシェを作って参ります。
用意するのは
・カサゴ
・シーフードミックス
・トマト缶
・白ワイン…がないのでドライマディラでいいや。ポルトガルだけど。
・イタリアンパセリ…も無いからセロリの葉で勘弁して。
・玉ねぎ
・ニンニク
・オリーブオイル
まず鍋にちょっと多めのオリーブオイル(地中海料理で油をケチってはいけない!)を入れ、スライスしたタマネギとニンニクをこれまた多めに入れて弱火で炒める。
玉ねぎがあめ色になってきたらシーフードミックスを入れて中火で炒める。
マディラ200ccを入れて、カサゴとトマト缶を入れる。
水を多めに入れて、40分以上煮込む。
汁気がいいカンジに濃くなってきたら塩コショウで味を整えて、刻んだセロリの葉を乗せて
完成!
いただきまーす
…(≧~≦)
…
まさに旨味の塊!
カサゴの出汁はすべての材料を包み込み、尚且つ身の味わいを捨て去ることはしない。
スープを飲むと唇がぺたぺたするほどに濃厚なゼラチン質がコクをもたらす。
味:★★★★★
価格:★★★★☆
この料理は丸のカサゴから出る出汁でほかの食材を煮るものなので、どんな材料を使っても良いのだが、カサゴだけは新鮮なものを用意し、必ず丸ごと使わないといけない。
出汁が出ないと本当に空っぽな料理になってしまう。
ブイヤベースよりも遙かに手軽だけど、そのぶん素材が味を大きく左右すると思われる。
だからもし新鮮なカサゴがいくつか手に入ったら、一度やってみてほしい。
個人的には、カサゴを楽しむ上でこれを越える料理は、味噌汁を含め見当たらない。
ちくしょう、やるなイタリア人…
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