「野食のススメ」第9回の記事が公開されました。
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星海社Webサイト「ジセダイ」で
「野食のススメ 東京自給自足生活」
を連載しています!!
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春の陽気に誘われ、3連休はブログネタを探しにしぞーか方面に遠征した。
メインコンテンツは春の果物狩りということで、以前からマークしていたもののなかなかタイミングが合わず行けなかったあの果物狩りに、ついに挑戦する機会を得た。
あの果物とはそう
ジャボチカバだ。
「キモカワ」「グロ画像」と話題のジャボチカバを狩って食べてきた
ジャボチカバは数年前から2chの「グロ画像」スレなどで人気を博している南米原産のフルーツだ。
その理由については画像を見ればご理解いただけるかと。。
個人的にはピオーネといくらの中間みたいでそこまでクるものはないのだけど、スレではトライポフォビアの方を中心に「これは厳しい」「怖い」との声が上がっていた。
ジャボチカバが属する「フトモモ科」にはいくつかの熱帯果実が含まれており、その中にはカムカムやグアバなど日本でもなじみのあるものがあるが(ついでに言うとユーカリもフトモモ科)こんな生り方をするものは他にはないようだ。
せめて細い枝に直接つくのであれば、多少は納得がいくのだけど、主幹を始め木の根元近くにびっしりと生るのはいったいどういった理由からなのだろうか。
静岡でこのジャボチカバを狩ることができるのは、国道1号線静清バイパスの終点近く、宇津谷峠の静岡側のふもとにある「西川農園」さん。
何種類かのジャボチカバを栽培されており、「四季生り品種」もあるおかげで年間の大部分の期間で摘み取り体験ができるという。(僕らは3度目の企図でようやく摘み取ることができたけど)
日曜のみの営業となっているが、ブログで摘み取り可能かどうか確認できるのもありがたい。
茶畑が広がる農園の入り口の景色は、実に静岡らしいのだか……
温室の中に入ると、途端に魅惑のジャボチカバ・キモカワールドが広がる。
僕らが訪れた時はちょうどブラジル人ご一行がブラジル原産種(大葉系品種)を狩りつくした後で、ジャボチカバはボリビア原産の小葉種のみ狩ることができる状態だった。
また、訪問中もブラジルの方と思しき客が来園されており、故郷をしのぶ人々の憩いの場となっているのだなぁとわかってちょっとほっこりとした。
小葉系品種の果実のサイズは直径2㎝前後。
完熟したものは、果実を手で持ってくるりとひねるだけで、ぽろっと落ちてくれる。
よく見ると短いながらも果柄が付いていて、あまりキモくない生り方をしている木もあった。
一方で果柄がほとんどなく「キミは生ってるの? それとも挟まっているだけ?」と聞きたくなるような果実も散見された。
小粒で一見するとブルーベリーのようだが、皮が厚めで噛むと口の中でバチンとはじけるのが面白い。
味は非常に複雑だ。
皮の風味はブドウ、それもカベルネやシラーのような渋みと酸味が強烈なタイプ。
一方で果肉は、よくライチにたとえられるようだが僕はマンゴスチンらしさを感じた。
酸味があまりなく、糖度20度に迫るともいう強烈な甘みがあって、皮の酸味とのバランスが抜群に良い。
果皮と果肉の身離れはとても良い一方で、種子と果肉の身離れはとても悪い。
果実のサイズの割に種子が大きく、ついぎりぎりまで果肉を深追いしたくなるのだが、種子の周辺の果肉はやはり非常に酸っぱく、あきらめて吐き出した方が得策のようだ。
農園の方が「収穫するほどないけど、四季生りの果実も生っているよ」といって見せてくれた。
でかっww
体積でいえば小葉系の6~7倍はありそうな巨大さだ。
こちらはライチ様の風味があるが、味はもう少しブドウ寄りで素直かもしれない。
種子は小さいものがいくつかあるカンジで、果肉部分が大きくお得な感じがするが、個人的に味は小葉系のほうが好みだった。
いずれの品種も果皮は薄く、また完熟後急速に劣化してしまう(木に生ったまましぼんでしまったものもいっぱいあった)こともあって、日本国内で流通することはほとんどないという。
食べたければ、関東周辺ならば西川農園さんにお邪魔して摘み取るしかないのだ。
(ただ、種子は比較的容易に発芽し、実生でも果実をつけるとのことで、よかったら栽培にトライしてみてくださいと言われた)
ジャボチカバの利用について
併設されているカフェでは、ジャボチカバを使った加工品を食べたり購入することができる。
今回はジャボチカバジャムとジュースを購入した。
どちらも、ブルーベリーやグレープジュースのようにしっかりとした紫色に染まっており、酸味と甘みの良く効いた味わいでバランスがとても良いと感じた。
ジュースにすると、果肉のトロピカルな風味よりも、果皮や種子まわりの酸味が立つような感じを受ける。
これ、ワインにしたらめちゃくちゃ美味しいだろうなぁ……
糖度も20度を超えることもあるというし、美味く醸造すればアルコール度も10度を超えるだろう。
トロピカルな香りがして酸味と果実味のしっかりした、フィネスのあるいいワインが作れるのではないだろうか。
原産地ブラジルでは、ジャボチカバを使ったワインが盛んに作られているそうだ。
現在のカフェの体制でワイン製造まで行うのは難しいとは思うが、チャンスがあればぜひ挑戦していただきたいなぁと思った。
ジャボチカバは無農薬で栽培されているため、果実にカイガラムシがついていることがあったり、地面では落下した果実を無心に食べているダンゴムシなども見られた。
丈夫な作物だとは聞いているが、いろいろな苦労もあるだろうなと思う。
それでも、今後もこの不思議な果実を気軽に食べに行けるように、栽培を続けていっていただけると嬉しいなあと思う。
コメント
ちなみに、基本的な傾向としてトロピカルな香りのする果物を発酵させたワインは、なぜかトロピカルな香りが殆ど消えて、不思議にクサイ香りの酒になりがち…発酵の大家小泉教授もおっしゃられております。w
あ、でもなんかそれ、想像できる……ww
ジャボチカバの場合だと、普通のブドウのワインにかなり近しい風味になると思いますけどね