夏の終わりの長雨もあり、今年の秋はキノコが大漁だろうと期待していたのですが、ふたを開けてみるとうちの近所はまれに見る凶作。台風のひとつやふたつ来てくれないことには好転はしなさそうです。
それでも今年の秋の収穫欲は現時点ではかなり満たされています。それはこの草のおかげ。
河川敷の片隅や森の端のじめっとしたところによく群落をつくっているこの草、たぶん皆さまの生活圏にもあるはずです。
これは実はミョウガの葉。実はミョウガ、割とどこにでも生えている野草のひとつなのです。
ショウガの仲間であるミョウガはかなり古い時代に日本に移入され、そのまま定着したと考えられています。果実ではなく根茎で殖えるために急激に生息地を増やすことはありませんが、一度根付いて群落になると駆除は困難です。
そのため、かつて人里であったような山あいの谷、棄てられた谷戸、河川敷の湿地などにはだいたい群落があり、利用することができます。
そのようないわゆる「野良ミョウガ」は晩夏から秋にかけて花を咲かせます。その花穂が普段我々の食べているミョウガで、この時期誰でも簡単に採取することができます。
時々、「ミョウガの花って白いやつじゃないの?」と言われることがありますが、あれはヤブミョウガという全く別の植物です。ミョウガは葉のつきかたが平面的なのに対し、ヤブミョウガは立体的なので慣れればすぐに見分けられます。
ミョウガの花穂はこんな風に、葉の根元からポコンと顔を出します。
花は花穂の先端から飛び出すように咲きます。花が咲くとちょっと香りが穏やかになりますが食用には問題なし。
陽に当たると色が濃くなるようです。色が濃いものはやや繊維質ですが風味は強いです。
我が国のミョウガは根茎で殖えるため、花は咲かせるものの繁殖にはあまり貢献していないようです。その割にかなりの数の花穂を出すので、よい群落なら一度に数十個ほど採取することも可能。
たくさんとれたときは、うちではまず
天ぷらにします。二つ割りにしてカリっと揚げると無限に食えるやつ!
買うとひとつ50円くらいするのでこういう贅沢な食べ方やれないんだよな~
以前酒徒さん(@shutozennin)がTwitterで紹介されていた中華のミョウガ料理もやってみましょう。
半分に切ったミョウガを多目の油で枝豆と炒め、塩だけで味付け。
美味すぎィ! 予想の29倍くらい美味いです。ミョウガの香りと歯応え、枝豆の食感とコク、あらゆる面で正反対のふたつの食材が塩をBGMにタンゴを踊ります。
ミョウガ、どうやら植物性食材のなかでもうまみが多いもののようで、香りのよさもあってシンプルな味付けで力を発揮します。
その極めつけがこちら。
横に半分に切ったミョウガを、塩味でご飯に炊き込むだけ。
土井善晴先生のスペシャリテ、でよいのかな。Twitterで紹介されていたレシピですが、これは本当にびっくりさせられます。
小さくて色が悪いけど香りが強い野良ミョウガで作ると本当に美味しいです。冷えても美味しいのでおにぎりにもグッド👍
もう概ね花が咲いてしまってはいますが、まだ暫くは採れるはずです。群落は遠目にも目立ちとても探しやすいので、もし気になったら探してみてください。
あ、最後にひとつだけ注意点をば。ミョウガは手のかからない作物なので、土地の片隅で半栽培し、必要なときだけ必要な分を採るというスタイルで植えている人も多いです。
近くに畑があるなど、もしちょっとでも「これは人の手が入ってるかも」と思ったら採らないようにしてください。
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