ノビルが野菜になってもうすぐ1ヶ月が経ちます

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前に「当ブログでもっとも人気のない記事のジャンルは『キノコと植物』」みたいなことを書いたのだが、ふと気になって先程改めて調べ直してみたところ「植物(山菜)」が断トツ平均PVが少ないということが判明した。
昨年のトリュフ祭りでアクセスを効率的に集めたキノコ記事勢に対して、特にトピックスもなかった植物記事勢が置いていかれたというかたちだ。

この事を野食クラスタの知人たちに伝えると「なんでや! 山菜美味しいやんけ(憤怒)」というリアクションをくれて大変頼もしいのだが、まあ分からんでもないなぁと思う。
植物系食材は採取に当たっては判別するのが難しいし、タンパク質系食材と比べると中毒のリスクを冒してまで……という気にはならないだろう。

ワイもシシウドには悩まされたンゴねぇ……

さらに、植物の場合美味しいものはたいがい栽培がおこなわれている。
タラの芽とか、美味しいことが知られていても、ガソリン代や交通費を使って山奥にまで採りに行くというのはなかなかモチベーションが上がらないだろうという気はする。(ワイもマーシーが誘ってくれなかったら行かないと思う)

結果として植物性野食材の情報はあまり需要がなく、とりわけマジョリティである「野食初心者」の心には響かないのではないか、とちょっと乱暴に結論付けて先へと進む。


というわけでこれらの状況を鑑みるに、植物性食材の記事は
「身近で安価に採れて」
「誤食のリスクがほとんどなく」
「販売されていないのに美味しい」
といったものを取りあげれば、ニーズにこたえることができるのではないだろうか。
あるのか、そんなもん……

ありまぁす!

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ノビルは即戦力野菜だ

勤め先からほど近い、秋葉原の昭和通沿いの植え込みの写真がこちら。

野菜が植わってますねぇ……


そう、ノビルです。
よく知られた野生ネギ。
日の当たるところなら本当にどこにでも生えていて、春先から初夏に至る長い期間利用できる山菜だ。
葉の形がどう見てもネギだし、間違えそうな野草は他にアサツキがある程度なので問題ない(アサツキも食べられるので)


ノビルの話ならこないだもうやっただろ! というツッコミ、恐縮です。
そうなんだけど、あれを書いた時点ではノビルの真の価値が分かってなかったのだ。

初めてノビルを採取・利用してからもう25年くらいになると思うけど、ずっと分かっていなかったこと。
それは「ノビルは葉を利用しないと損だ」ということだ。


一般的にノビルは地下の鱗茎だけが利用されることが多い。
山菜図鑑などを見ると、大概の本には「葉の部分も利用できる」程度のことは書いてあるんだけど、載っている料理写真は鱗茎を使ったものばかりだ。
しまいには「鱗茎の太いものを見つけるには○○……」といった話まで。


正直な話、ノビルの鱗茎は他の栽培ネギと比べると魅力的ではない。
サイズが小さいのみならず、味も単調でアクセントに欠ける。
ラッキョウやエシャロット(同じものだっけ?)、葉玉ねぎ、アサツキetc.などを食べたほうがずっと美味しい。

なに野菜と比べとんねんと言われそうだが、ノビルはただの有望ドラ1といったレベルではなく、即戦力となれるポテンシャルを持っている。
魅力はその葉にあるのだ。

ノビルがあれば葉ネギを買わなくて済む


まず言いたいのは、ノビルで一番美味しいのは偽茎(白ネギの可食部のところ)だということだ。

生で食べると甘みと辛味がシャープでまるで九条ネギのよう、加熱すると小さいながらもとろっとして長ネギのようにジューシーだ。
採れたてを刻めば、最高に食欲の湧く香りがキッチン中に充満する。



刻んだものをたっぷりとつくねに入れるとか最高すぎだし、

干潟で掘ってきたあさりと合わせてぬたにすると、春を感じられる。
この場合、ノビルは生&加熱の2バージョンを作ると味の違いが楽しめて良い。



また、この2食材の組み合わせなら「ヘムルパジョン(アサリと長ネギのチヂミ)」にすると、またちょっと違った「春らしさ」を楽しめるかもしれない。

新鮮で香りの強いものなら、チャイブやリーキのようなハーブ的な使い方もできるので、トマトベースのスープに散らすのも相性抜群だ。




偽茎より上の青々とした葉の部分は、確かに市販される青ネギと比べるとやや繊維質で堅い。
しかし、加熱調理をすれば気にならなくなる。

また、香りの高さが素晴らしいので、油に浸して加熱し「葱油」にすると様々な料理で利用できる。


それから4月も後半になってくると、

いわゆる「葱坊主」と呼ばれる花茎が伸びてくるのだが、これをニンニクの芽の代わりに中華料理に使うと抜群に美味しい!

甘みとさわやかな酸味があり、これだけをごま油でいためて塩コショウをするだけで感動的な味になる。

味:★★★★☆
価格:★★★☆☆(利用コストでいえば★☆☆☆☆でいい)


ネギ類の香りは揮発性がとても高く、採取後からどんどん失われていってしまうものだという。
だから、街中にもごくふつうに生えていて、採取後すぐに持ち帰って使えるノビルが野菜ネギより有利なのは当然だ。
このことを知ってから多摩川の「裏庭の畑度」が上がり、葉ネギを買うことなく過ごすことが可能となっている。



今ではむしろ「鱗茎をどううまく使うか」というのが今後の課題になってくるなあと感じている。
いまのところ、鱗茎の一番重要な役目は「毒草のヒガンバナやスイセンとの判別に役立つ」ということだろうか。
(ヒガンバナやスイセンは鱗茎が茶色い皮でおおわれているのですぐにわかる)

庭があるなら鱗茎は食べずに植えて、生えてきた葉を逐次利用したほうが結果的にはたくさん楽しめるような気が……w

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植物
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野食ハンマープライス

コメント

  1. naoto.i より:

    正直葉の方が美味しいし使い道多くね?と思い始めてた矢先にタイムリーな記事で楽しく読ませて頂きました
    同じようにつみれ等に混ぜて使ってますが美味しいですよね

  2. tto より:

    野蒜の葉旨いですよね!
    鱗茎に葉を付けたまま、葉だけをサッと湯がいてグルグルと巻いて結び、鱗茎と葉を一口サイズにする他のネギ類では出来ない楽しみ方がありますよ。

    それと、エシャロットではなくエシャレットですね。エシャレットはラッキョウでエシャロットはシャロットの事です。

  3. 小粒好き より:

    のびるの葉、我が家では重宝しております。
    納豆の薬味で小ネギが欲しいけど買ったら余らせてしまう…そんな時に庭でぷつっと。
    球根と比べて採取が容易、かつ下処理も楽なのがいいですよね

    • wacky より:

      まさにそんな感じで使ってますw さっと洗い流してすぐに使えるのありがたいですよね

  4. rennzann77 より:

    刻んで冷凍しとくと重宝しますよね。
    ただし、冷凍庫がものすごく臭くなりますけど。

    カラシナとノビルは「野菜」として市民権を得てもいいのでは、と思っちゃいます。

    • wacky より:

      ですね~。僕は完全に野菜として認識しています。まあ、栽培するほどのものではないですけど……(^_^;)

  5. MicroTomo より:

    鱗茎を人によっては生でも食べますが、私は辛すぎるのがちょっと苦手なので軽く湯かレンジで火を通したのが個人的にベストです。
    個人的に一番いいと思うのはレンチンしてもろみ味噌といっしょに刻むのが簡単で美味しくて好きです。
    焼きおにぎりにしたい感じです。

    葉は餃子にしたことがありますが美味しかったですよ。

    • wacky より:

      葉の部分は火を通すとしっかりと甘くなるので優秀ですよね。餃子も美味しくならないわけがないですよね!

  6. gim より:

    鱗茎は採取と処理が面倒なので、葉を食べることが多かったですね。
    道すがら齧ったりしてたからですが・・・。

    植物はキノコに比べれば判別も簡単で、生食できるものも多いですし、もっと身近に食べられる野食として受け入れられても良い気がしますね。

    • wacky より:

      セリやヨモギ、ノビル、カンゾウ類など街中に出てくれるものは本当に便利なので、もっとみんな使えばいいのに……と思います。

  7. 通りすがり より:

    前回の記事で「野蒜の調理失敗かも」と書いたものですが
    今回の記事を参考に色々作ってみようと思います。
    レポートありがとうございました。

  8. モフモフしたい より:

    自分が住んでるところ(映画・サマーウォーズの舞台になった場所)では、貧乏人のネギと呼んで、見向きもされませんね。秋田県の一部地域でも、同じような呼び方を、されてるようですが。
    自生してる場所は、バッチリ把握してますが。
    他にも、モミジガサ(シドケ)やイタドリ、リョウブ、イワタバコ、ニワトコのある場所、採れる時期も把握してますぜ(^m^)

  9. 坂本利明 より:

    淡路島の1老人です。
    最近野蒜に目覚めて昨日、夏に見た野蒜を捜したのですが見つかりません!
    来春まで待つたなければならないでしょうか?
    鱗茎も分かりませんでした。
    宜しくお願い致します!
                     坂本利明

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