戸田からの帰り道、車内で急に尿意をもよおしたので、父に頼んで車を路肩に止めて貰った。
用を足してふと目の前の木を見ると、絡みつくつるに赤い実が生っているのが見えた。
これはひょっとして…
フウトウカズラはコショウ科のつる植物で、南日本の暖地に生える。
本土では唯一のコショウ科の植物で、厚く葉脈の目立つ葉や、3mm内外で赤く熟する果実など、本物のコショウによく似ている。
知識としては知っていたが見るのは初めてだ。
少し採取してみることにした。
フウトウカズラは胡椒の代替品になるか
コショウのうち、特に有名なのは未熟な果実を乾燥させた黒胡椒と、熟した果実の果皮を取り去って乾燥させた白胡椒だが、熟した果実の果皮を除去せずに乾燥させた赤胡椒は独特の風味とエキゾチックな香りがあり、僕は一番好みだ。
このフウトウカズラの実もそれに大変そっくりなので
「ひょっとして同じ風味と辛さがあるのではないか」
「百歩譲って辛くなくても、いい香りがあるのではないか」
と一人期待して、試してみることにした。
フウトウカズラを食べてみた
よく乾燥させた果実と花序を、ペッパーミルに入れて
粉砕。
出てきた粉に、鼻を近づけてみると…
むむ、これは!青臭い!
青臭いけど、その奥にほんのり胡椒香が!
続けて少し手に取り、舐めてみた。
…(゜~゜)
口の中に青臭さと苦味が広がり、胡椒らしい香りもふわっと広がるが…ピリッとはならない。
そうかー、辛さはないのか…こんなにコショウとそっくりなのに残念…
と思っていると20秒ほどして、舌の上が突然ピリピリしてきた!
これは…まごうことなき胡椒の辛味!
その後、ミルの中に残っていた赤い果皮や花序
の部分をそれぞれ食べてみたところ、どうも果皮のすぐ内側、種子の表面部がもっとも辛く、また花序の部分も少し辛味があるようだった。
とは言っても、本家コショウと比べても遥かに穏やかな辛味なので、代替品として使うのは少し難しそうだ。
しかし、この青臭さと胡椒香が絶妙に混じり合ったエキゾチックな薫り、そして時間差で来る刺激的な辛味、野におくのはややもったいない気もする。
本土でもコショウが育つ?
果実によっても、あるいは株によっても辛味成分(ピペリン?)の含有量は大きく変わりそうだと感じる。
本家コショウと掛け合わせるなどして、含有量の多い株を作ることができれば、食卓に欠かせない胡椒を全国で自給自足できるかもしれない。
おお、夢が広がりんぐ。
研究者の皆さん、商品化の際はマージンは10%で良いですからね。
コメント
カンボジアで生のコショウの房を炒めて野菜として食べているのをテレビで見たことがあります。
そのような利用はどうでしょうか?