食べて美味しかったオオバモク以外にも、今回はホンダワラ科(ヒジキの仲間)の海藻をいくつか採ってきていた。
代表種のホンダワラ
葉に滑らかな鋸歯のあるアカモク
葉が短くて気胞(浮き袋)の目立つタマハハキモクである。
これらのうち、ホンダワラとアカモクは地域によっては食用にされており、銀葉草、人馬草などと呼ばれている。
おもしろいことにホンダワラとアカモクのどちらも食用にしている地方はあまりないようで、例えばホンダワラを珍重する島根県・隠岐地方ではアカモクのことを「はなたれ」などと呼び食用にはしていないという。
この辺りの違いも気になったので、食べながら比較してみることにしたい。
ホンダワラ科は没個性?
見た目にはどれも似ている3種だが、生態も近く、潮間帯下部より深いところに混生しているので採取の際は注意が必要となる。
既述のとおりホンダワラ、アカモクには漁業権が設定されている地域があるので、採ったら混ざっちゃってましたーてへでは済まない場合があるからだ。
当然、ヒジキと間違えるのはもってのほかとなる。
どれも1~2mほどのサイズに成長し、初夏になると仮根が切れて流れ藻となり漂う。
生育期はメバルやイカの、流れ藻になると青物やシイラの隠れ家となる大切な海藻なのだが、エギやルアーが絡んだり、スクリューに絡みついたりして厄介な存在となることもある。
釣り人にとっては厄介だけど切り離せない、腐れ縁のような関係だ。
さて、それぞれを軽く湯がいてみたのがこちら。
右から時計回りにタマハハキモク、ホンダワラ、アカモクである。
どれも元々の褐色から比べるとかなり明るい緑色になっているが、その中でもタマハハキモクの緑はあざやかで食欲が出る。
ホンダワラは茹でた瞬間に茹で汁が焦げ茶色になったので、苦みやえぐみがやや心配だ。
アカモクは茹で汁の色はさほど変化しなかったが、ヌメリが多いようで激しく泡立った。
ホンダワラ科は個性的
さっそく1種ずつ食べてみる。
まずはタマハハキモクから…
…固い。しわい。
先端の新葉に関してはしゃきしゃきとして食べれなくもないが、茎が非常に硬く、また全体に青臭い。
夏の草原でカナムグラやアカネ科の雑草を引き抜いて食べたらこんな気分になるかもしれない。
繊維質が強いので、ヒジキやオオバモクのように、長時間茹でれば何とかなる類のものではなさそうだ。
味:★☆☆☆☆
価格:★☆☆☆☆
次にホンダワラ…
おっ、しゃきしゃきしながらも歯切れよくて美味しい!
メジャーな食用海藻の中には似たものはないなぁ。
さわやかな潮の香りがするのでお吸い物は間違いなく美味しいけど、海藻サラダの中に入れてアクセントにすると素晴らしいと思う。
そして気胞がプチプチして美味い!すごく大きな海ブドウみたいだ。
イラクサやモミジガサのような山菜にも少し似ているので、おひたしや白和えも美味しそう。
これは漁業権ないとみんな採るわな…
味:★★★★☆
価格:★★★☆☆
最後にアカモク。
お、これはやっぱりヌメリがあるね。はなたれなんて呼ばれるのはこれのせいか…
でも全然生臭くなくて、メカブみたいで美味しい!
吸い物にもおひたしにもばっちりあう。
叩いてとろろにしても美味しいだろうなぁ。。
味:★★★★☆
価格:★★★☆☆
面白いのは、形状もきわめて似ているホンダワラとアカモクが、全く逆のベクトルでどちらも美味しいということ。
これなら、片方だけ珍重される場合があるってことも十分に納得がいく。
タマハハキモクは…ブダイの餌だな。
今後も春にかけて、様々なホンダワラ科海藻を採って試してみたいと思います。
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