先週末、ふと市場が恋しくなって、行きつけの川崎南部市場に行ってみた。
ぐるっと廻ってみたが、気温の低下のせいかそれとも時化のせいか、全体的に入荷が少ない気がする。
買いたいなと思う魚は見つからなかった。
一縷の望みをかけて、川崎南部市場で一番大きく、かつヘンな魚が好きな仲買さんがいる「山定水産」さんに向かったが、時遅く既に片付けが始まっていた。
遅かったか…と思いつつトロ箱を眺めていると、突然全く予想外の文字列が目に飛び込んできた。
聞いてみると、横浜の方で何かしらの需要があり(水族館かな?)仕入れたが、余ってしまったので小売りすることにしたのだそうだ。
食べるんですか?と聞いたら「いやいやまさかそんなこと」とかぶりを振られた。
ビンの中にはクリオネが3匹入っていた。
軽く調べてみると、北海道のスーパーでは時に観賞用にと売られることがあるらしいのだが、数匹で10,000円位することもあるようだ。
となれば2,000円くらいたいした価格ではない。
サクッと購入し、持ち帰ってきた。
さぁてどうしましょう
改めて観察してみる。
…やべぇなこの可愛さ(・ω・`)
ラブリーなんてもんじゃ済まされないな。
しかし、いつまでも眺めていることはできない。
ここ関東地方では、クリオネにとって最適な水温を保ち続けるのは困難だし、何より彼らの餌となるミジンウキマイマイが手に入らない。
餌さえ手に入れば、バッカルコーン(餌を捕食する時にガバッと出る触手)を眺めながら冷蔵庫のパーシャル室で飼育して愛でてみたいのだけど。
と言うわけで、関東地方に連れてこられてしまった時点で遅かれ早かれ彼らの運命は決まってしまっていたのだ。
餓死するか、それとも
食べられるかだ。
クリオネを食べてみた
食べるにあたり、気になる点が2つあった。
ひとつはアレルギーが出ないかどうかということ、そしてもう1つは味である。
前者については、以前ヒザラガイとアメフラシ(タツナミガイ?)で発症したことがあり、心配していたのだが、調べてみるとヒザラガイは「多板綱新ヒザラガイ目」アメフラシは「腹足綱アメフラシ目」となっており、それぞれクリオネとはかなり遠縁の関係にあるようだ。
むしろ通常の巻貝類の方が相対的にはクリオネと近縁であるようで、ぼくにとってどんな貝なら(もしくは貝でなくとも)アレルゲンとなりうるのかが、いまいちわからない。
むしろその貝がどんな海藻を食べているか、の方が大きなファクターのような気がする。それでいくと肉食性のクリオネはやっぱり問題ない、ということになりそうだ。
まあ念のため、抗ヒスタミン剤を1錠飲んでおこう。アレルギーが出ても軽傷で済む(はず)。
味の方は、これはもう経験者に聞くしかあるまいと思い、以前テレビのロケで食わされていた平坂さんにLINEしてみた。
全否定じゃねーか
まあしょうがない、これはもう不味いという覚悟を決めてトライするしかあるまい。
心を鬼にして、クリオネの入っている瓶を水ごとザルにあける。
浮力が無くなり、完全に形を保てなくなってしまったクリオネ。
この状態でもうにゅうにゅ動いている。
とりあえず、1匹だけ生で踊り食いをいってみる。
…(・~・;;)
……なんかでゅるってしてるのに、シャキシャキ感もある…
大きさ・歯応え・食感、どれをとっても水につけたスイートバジルシードに近いカンジ。
舌の上でにゅるにゅる逃げ回るのでうまく噛めないぞ…
よし、歯でつかまえた!齧ってやる…
…シンナー臭い!
こ、これは…!全く予想外…!
シンナーやガソリンの香りが口中にブワッと広がり、同時に大きさの割に強烈な苦みが舌にぱっと拡散した。
これは…不味い!!
全く美味しさの要素が無い!
味:☆☆☆☆☆
価格:★★★★★
生がいかんかったのかなぁ…と思い、連れの提案でさっと湯引きにしてみた。
加熱すると縮んでさらに小さく(5㎜位)なってしまうが、多少はしっかりするようで、水を切っても形状を保ったままだ。
ポン酢をかけて食べてみると…
…(・~・)
うーん、やっぱり苦くてシンナー臭い。
でも加熱のおかげかポン酢のおかげか、多少は食べやすくなっていた。
そして加熱によってでゅるでゅる感は消え、ホッキガイの足のような繊維質なむちむち感が出た。
アリかナシかでいうとやっぱりナシだけどね…
味:★☆☆☆☆
価格:★★★★★
ゲップがシンナー臭い
というわけで割と散々な結果に終わったクリオネ試食。
このレポを公開することで世界中のクリオネ愛好家から批判が殺到するのは間違いない。
嗚呼、せめて美味だったらなぁ…
まあでも仮に北海道に住んでいて、いくらでも手に入る環境にあったとしても、クリオネだけは食べる価値が無いということを世に知らしめられたのでまあ結果オーライではないですかね。
しっかし臭かったなぁ…食後2時間は吐息がシンナー臭かったぜ…
不用意に外出したら逮捕されてたかもねw
コメント
食ったw!?!?!!??
包丁入れて内臓?取ったらコリコリで美味しいかもですねww
包丁じゃこの大きさは厳しいですねぇ…w
ピンセットと剃刀があれば可能かな?でも身もたぶん海水の味しかしないですよww
ク、クリオネ!?そんなん市場で売られてるんですねwそしてそれを食らうとか・・・流石ですww
泳いでる姿は可愛いですね。補食するときの姿は・・・まぁ・・・w
飼うとなると、いくら1年くらいの絶食には耐えるとはいえ、水温の問題がありますからねー( ̄▽ ̄;)
ずーっと冷蔵庫内の真っ暗なところに入れておくのも可哀そうな気がしますしねぇ。。
しかし、1年も耐えるんですか…じゃあ餓死させる前に温度管理に失敗して殺してしまいそうですね。
まあ、今後はもう見つけても購入しないと思いますよ。。
そういえば以前、腹足目でアレルギー出てましたよね。クリオネ食べちゃって大丈夫でしたか…?
ご心配ありがとうございます。。大丈夫でした!クリオネは古腹足綱の軟体動物たちからはやや遠い存在みたいです。とはいえ未知の食材を食べる時はなかなか勇気がいりますね。。
どこの部位がシンナー臭いんでしょうね?
内蔵でしょうか
身なのでしょうか
どこかの部位をのぞけばおいしくいただけるんでしょうか?
そういうことを先に気にしてしまうってダメなのでしょうかw
内臓だと思います。小さいから内臓だけを取りだすってわけにもいかないのが難しいところです。
MAX4cm位になるらしいので、それなら何とかなりそうですけど。。
何を食べたらそんなシンナー臭くなるんでしょうね?
何でしょうねぇ……クリオネはミジンウキマイマイという似た成体の巻貝しか食べないらしいので、それに由来するんでしょうかね。
シンナーの味がわかりません
相当勇気がいる味なのを確信しました……
すげぇー食ってみたい←
ま、まぁ、タンパク質は純度が高い程、透明度が増すもんらしいので…
筋肉には、他ない程の最高の栄養になったと思えばww