先日、再び三番瀬で潮干狩りをした。
メインターゲットはホンビノスだったのだが、年々難易度が上がっている気がする。
特に、干潮時に露出する部分ではほぼ採り尽くされていなくなった。
まあ、やたらとデカくて味もよく、商品価値もあることが世の中に周知されたので、当たり前の結果と言えばそうだ。
繁殖力の強い外来種なので沖合から毎年供給されるだろうが、今後小型化は進むだろう。
ということで、今年からは潮下帯より下のラインで頑張ることにした。
背筋が痛いぜ全く……
島根ではサルボウガイで赤飯を作ると聞いた
さて、三番瀬では例年の青潮に潮干狩り客の採取圧もあり、天然のアサリとマテガイはすっかり絶滅に近く、採らなくなって久しい。
しかし、ありがたいことにホンビノスとサルボウガイはいまだにそれなりの量が採れる。
ホンビノスはわかるが、一見すると青潮に弱そうなサルボウガイが毎年採れるのはちょっと意外に思える。
しかし、以前京浜運河某所で生物調査をした際、やたら大きなサルボウガイが大量に採れたので、おそらく彼らは環境の悪化や酸欠にも強いのだろう。
小さく利用価値が下がるとされるサルボウガイだが、個体によってはアカガイに匹敵するようなサイズもあり、またアカガイの代用に使われることも多く味もいい。
今回はこれまでで最も数がまとまったので、これで赤飯を作ろうと思う。
日本有数の汽水湖である宍道湖・中海を抱える島根県では、このサルボウガイを赤貝と呼んで珍重し、特に年末年始はおせちをはじめ様々な料理で食べていたそうだ。
その中でも「赤貝飯」は特に喜ばれるもので、宍道湖のサルボウガイが干潟の消滅で激減した後も、県外からの流通品で作られ続けているという。
サルボウガイはアカガイと同様、血中にエリスロクルオリンという呼吸色素を持つ。
これはヘモグロビンと同様にヘム鉄を含むので、血液が赤く見える。
ユスリカ(赤虫)やミミズもこれを持つらしい。(『ヘモグロビンを持つ』という記述は間違い)
そのためサルボウガイを入れて炊き込めば、ご飯が赤く染まるという寸法である。
赤貝飯は、シンプルに考えれば「貝の炊き込みご飯」なので美味しくならないわけがないのだが、そうでなくてもエリスロクルオリンでご飯を赤く染めるというのはなかなか面白い発想で、やってみたいなと思っていたのだ。
『赤貝飯(feat.サルボウガイ)』を作ってみた
とはいえ、本当に赤飯はできるのか。
確かにアカガイはきれいな朱色をしているが、サルボウガイはオレンジ色程度の濃さでしかない。
それに血液の赤みは乾燥や酸化で容易に変化してしまい、鮮やかさは永久に失われる。
少なくとも、ご飯を真っ赤に染めるほどの力はないと思うが……
まあ、やってみようか。
作り方としては通常の貝の炊き込みご飯と一緒で、
まずさっと茹でて殻を開き、身を取りだす。
大きいものは小さめに切っておく。
余談だが、サルボウガイの蝶番は直線的でメカニカルだ。
よく見ると小さな歯がかみ合うようになっているのもポイント高い。
殻の出っ張りがぶつかり合ってしまうので、ある程度以上は開かないようになっている。
茹で汁は濾してゴミや砂を取り去り、冷まして炊く際に釜に入れる。
……案の定ヤバい色をしている。
そうだよなぁ、こうなるよなぁ。
まあいいや、続けよう。
刻んだサルボウガイと針ショウガを投入し、味付けは醤油とみりんを適宜。
炊飯器の炊き込みモードでじっくりと炊いて、
茶碗に盛り、適当な薬味を散らして、完成。
……赤とは言えない……けど、色はしっかりと付いていて、食欲はわく見た目だ。
香りもとてもいい。
いただきマース
…(≧~≦)
うまぁい!
やっぱり貝の出汁ってすごいなぁ。
醤油とみりんだけなのにこの豊潤な味わい。
サルボウガイは加熱すると固くなってしまうのが難点だが、じっくり長時間加熱すると弾力を残したまま柔らかくなってとても歯触りがいい。
色味がおめでたいかどうかはどうでもいいくらい味が良くて、おめでたい場面でこれが出てきたら素直に嬉しいと思えるようなご飯だ。
味:★★★★☆
価格:★★★☆☆
これからの季節、サルボウガイは毒がある卵を体内に持つので、食用にしない方が良いとされる。
また秋になれば産卵も終わって身もふっくらと美味しくなるので、その頃また採って食べようと思う。
コメント
初めまして。いつも楽しく読ませていただいてます。
去年三番瀬でサルボウ獲ったものの、殻が開かずにとても苦労しました…コツとかありますかね?貝剥きがあった方がいいですか?
ちなみに18日あたりに、林遊船さんのツアーで行こうと思ってます!
サルボウは生のまま剥くときは、蝶番部分に出刃包丁をあててゴキっと左右にずらすのがメジャーですが、けっこう難しいです。僕は金槌で割っちゃいましたね(爆)